【あらすじ・ネタバレ】「ファラオの密室」白川尚文(著)

小説

ステキな表紙に目が釘付けな「ファラオの密室」ですが、表紙の人ってセティだよな、と思った私がバカでした。

表紙の人物がセティだと、いろいろな謎のつじつまがシンデレラフィット! ここの謎はこういうことだろうな、と物語の中盤あたりから謎が謎でなくなる事故が多発しました。

表紙の人物が魅力的過ぎて穴が空くほど表紙を眺めたため、わたしと同じように物語の中盤くらいで謎が謎でなくなっちゃった方、いらっしゃるんじゃないでしょうか?

いまえださく
いまえださく

お越しいただきありがとうございます。
ここでは「ファラオの密室」の以下のようなことを書いています。
お時間ございましたら、お付き合いください。

・あらすじをネタバレで
・登場人物のこと
・表紙やイラストレーターさんのこと
・「このミステリーがすごい」や出版社のこと

 



登場人物・あらすじ・ネタバレ

登場人物

セティ


主役。上級神官書記。
王墓の壁に字を掘っていたところ崩落事故に遭い死亡します。
死んで冥界へ行くと、冥界在住のマァトさんに「帰れ。心臓のカケラを探してこいやー!」と言われて実家というか現世に出戻ります。

タレク


ミイラ職人。セティの幼馴染。
仕送りが止まるまでは神官書記を目指していた人物。
ミイラ職人として唯一無二の技術を持ち、優遇されている。

カリ


奴隷の少女。頭がいい。
出身はハットゥシャ(ハットゥシャは今のトルコです)
両親に捨てられた、と思っていたが……カリ良かったね。みたいな。

メリラア


神官長。人望も人格もナイスな人物。
がしかし、エジプトのためとはいえ、リスクの高い計画を実行し、何気に失敗してエジプトに大混乱を招いた人。

イセシ


セティの父上。書記長。
セティが子供のころ、イセシは仕事に没頭して家に帰ってこなかったので、セティの身に大変なことが……。

神々


アテンは太陽を司り、マァトは真実を司る神様です。
オシリスは冥界の支配者で死と再生を司る神様です、とか、いっぱい神様はおられます。八百万やおよろずってます。

あらすじ

エジプトのメインの神をアテンとする、ほかの神様なんか信仰するな、とか、先代ファラオ(王様)のアクエンアテンが言い出したのでエジプトがおかしくなり始めました。

先代ファラオは一年前に亡くなっており、今は、トゥトアンクアテンという舌を噛みそうな名前の息子さんがファラオをしています。ちなみに、トゥトアンクアテンはのちのツタンカーメンだったりします。

アテンだけを信仰するのはさすがにまずいだろ、このままではエジプトがやばい、と考えた神官長のメリラアさんは、先代ファラオを現世に呼び戻し、アテンだけを信仰するのはやばいからやめろ、と息子さんに助言させようとしますが、この作戦が、すがすがしいほどきれいに失敗します。

一方、主役のセティは死んで冥界に行きますが、心臓のカケラがないので、魂がチチクリ合う楽園への入国審査が受けられません。
それはスゲェ困る、ということで、現世に戻って自分の心臓のカケラを探すことになります。

セティが現世にいられる時間には制限があり、タイムリミットを越えてしまうと魂が宙ぶらりんの嫌な感じの状態で永遠にそこいら辺をさまよい続けることになる設定です。

そんな事態は絶対に避けたいセティ。持ち前の頭脳を活かし探偵業を始めました。

いまえださく
いまえださく

読んでいるこっちには危機感はありませんが、古代のエジプト人にとって、魂が宙ぶらりんの状態は耐え難い苦痛のようです。

セティは心臓の一部が欠損しているため、死ぬ直前の記憶がありません。
セティの目的は心臓のカケラを探すことですが、誰に殺されたのか、そして殺された理由も気になりますがわかりません。

死んだはずのセティが生前の知り合いに会いに行くとビックリされます。
でも、現世に戻ってきた理由を話すと、なるほどねー、とかありえない状況を素直に受け止める古代エジプト人の懐の深さに驚きながら読み進めると、メリラアの作戦が失敗し、エジプト中が大変なことになります。

大混乱の中でセティは心臓のカケラを見つけ、魂がチチクリ合う楽園へ行けるのか!? というのが物語の大筋でしょうか。

ネタバレ

「ファラオの密室」の最大の「おおぉーっ!!」なところは、セティは女子でした。というところだと思います。
セティが女子ということにすべての謎を引っ付けた感じすらします。

セティが死んだ王墓の一部の石を故意に根性がない石に変えて崩落が起きた、という謎っぽいリアルは存在していますが、実際のところ、セティの死は事故です。
ボーっとしていたら崩落に巻き込まれた、というのが真実でした。

セティは崩落で下半身がつぶされます。タレクが自分をミイラにするはず、と考えたセティは、女子だとバレないといいな、と考えました。

また、崩落事故のとき、セティの胸にナイフが刺さっていたことも謎でした。
これは、セティ自身が女子であることを隠そうとして胸を切り落とそうとしましたが、中途半端に終わったことが原因です。

いまえださく
いまえださく

下半身をつぶされて、その上、胸を切り落とすとか百戦錬磨の戦士でも無理じゃね? みたいな。
その行為に至っただけで、セティすげぇな、ですけども。

さらにセティはイセシの本当の子供ではなくて、小さい頃に本物のセティが死んだため、そのときからセティツーになります。
そして、セティはタレクのことを愛していました。そのことをタレクも、うすうす気づいています。

メリラアの狙いはセティに復活の秘術を施すことで、セティは王のための実験台でした。
同じ秘術を施して、本当に王が現世に戻ってこられるかどうかを確かめるための実験台がセティでした。

メリラアにとっても復活の秘術は未経験。そんな秘術をいきなり王に試すのは、ダメだろ、失敗したらどうすんねん、という不完全な秘術でした。
王の復活を確実なものとするためには、事前の実験が必要だったのです。

このような理由で、メリラアはセティを冥界に送り、生命力を与えて、審判を受けられないセティが心臓のカケラを探すために現世に戻るように仕向けて無事に現世へと帰ってきたら、王に復活の秘術を執り行おうとしたのです。

カリが最後にとてつもなく活躍します。
かゆいところへ手を出しまっくたカリにはご褒美がありました。
ご褒美は、両親がずっとカリのことを探し続けていたことです。カリは両親に捨てられたと信じ込んでいたので、喜びも倍増だったでしょう。
このあとカリはトルコに帰って両親と幸せに暮らしたと思います。

表紙 イラストレーター このミス

表紙

表紙の人物は、主人公のセティだと思います。

イラストレーター

Watabokuさんというイラストレーターです。

女子高生を題材にした作品が多いようで、表紙がセティだと若いかもしれません。確かセティは25歳でしたから。

このミステリーがすごい!

「このミス」は、「このミステリーがすごい!」の略です。
「ファラオの密室」は、2024年、第22回「このミステリーがすごい!」の大賞作品です。
ちなみに、「ファラオの密室」が「このミステリーがすごい!」の大賞に選ばれたときのタイトルは、「ミイラの仮面と欠けのある心臓」でした。

仮題なので何ともなんですけど、「ミイラの仮面と欠けのある心臓」は流石に……みたいな。笑
個人的に「ファラオの密室」もどうかな、と思うのですけど、みなさんどうですか?
「ファラオの密室」だったら、「セティの秘密♡」の方がいいような気がしますが。
いや、おまえの方がセンスねぇだろ! というのは受け付けませんけど。笑

ちなみに、最終選考まで残った他の作品は、「溺れる星くず(仮題)」遠藤かたる(著)と「箱庭の小さき賢人たち(仮題)」浅瀬明(著)でした。
「溺れる星くず」は所属事務所の社長を殺害し、山に埋めたアイドルたちのお話です。
「箱庭の小さき賢人たち」は商科大学での学生たちの経済バトルのお話です。
この中では「推しの殺人(溺れる星くず)」を読んでみようかな、と思いました。

いまえださく
いまえださく

以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。