結婚を考えている相手に借金があることがわかったら
その人との結婚はあきらめたほうがいいのかな?
自分の子供や孫が結婚を考えている相手に
もし借金があったらどうすればいい?
絶対にないとは言えない婚約者の借金問題。
今回読んだ「三千円の使い方」に
問題を解決する一つの理想が書いてありましたので紹介します。
本書について
「三千円の使い方」 著者 原田 ひ香 発行所 中央公論新社
2018年4月25日 初版発行 定価1500円+税の本です。
第1話から第6話。7ページから300ページまでの本で字もページも多くはありません。
一話ごとに主人公が替わります。
基本「御厨家」の人が話を引っ張る小説です。ハウツー本ではありません。
「三千円はこうやって使え!」とか、
三千円を使うノウハウが書いてあると思っていたので、少し戸惑いました。
何が書いてあるのか
・固定費を見直す大切さ。
・「年金だけでは足りません」73歳で働けるのか?
・誇り高き仕事だけど薄給のダンナさん。そんな夫を持つ主婦の、プチ稼ぎ方法や節約術。
・好き勝手に生きてきたアラフォーが言う、「子供を持つことは費用対効果が最悪じゃね?」
・すべての不調は更年期に通じる。
・熟年離婚とお金の関係、などです。
これらのテーマがうまく絡み合いながら進行していきます。
自然に進んでいくのでおもしろく読めました。
以下、ネタバレ
理想のお金の使い方
第1話の冒頭、御厨琴子おばあちゃんがこう言います。
「三千円の使い方で人生が決まる!」
言い切る琴子さんが、めちゃくちゃカッコよかった。
で、ここから三千円のかっこいい使い方の話が始まると思ったんですけどね。
そんな話は始まらないという(笑)
琴子おばあちゃんの聞いていた孫の御厨美帆は中学生でした。
そんな御厨美帆も大人になっていろいろとあり、固定費削減を始めたり、黒船スーコさんの節約セミナーなどに参加してみたりします。
ちなみに黒船スーコさんは本を出版されるほどの節約の達人。セミナーへの参加費用は三千円です。
節約が必要と感じた矢先に美帆の恋人、沼田翔平
の借金が発覚。
借金は玉をはじいたり、馬の競争などで出来たものではなく、大学の奨学金の返済です。
あやしげな借金ではありませんが、額がデカい。550万円です。
結婚も視野に入れていたのに、突然の550万パンチ。
一括で返済できるはずもなく、月々返済可能な額を考え数字を見直すと、利子3%で20年返済の場合、利子だけで180万円近く払う計算になりました。
「わたしの戦闘力は総額730万パンチです」に御厨家の人々から「結婚反対!」の四字熟語カウンター。もう美帆さんノックアウト寸前です。
その後、なんだかんだ、すったもんだあるんですが、助けてくれたのは家族でした。
祖母の御厨琴子さんが500万円を出し、美帆のお父さんとお母さんが50万円を出してくれることになり、奨学金を一括返済しようということになりました。
美帆さんと翔平さんは、おばあちゃんの琴子さんに月々金利1%で4万3,800円を10年かけて返済していく予定です。
ちなみに、物語の中で御厨琴子さんの預金が1千万円、両親の預金は100万円です。
琴子さんは「今どき、1%の金利をつけてくれるところなんてなかなかない」との神対応。
しかも、「お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない」という名言つきでした。
あらためて、琴子さんかっこいい。
最後に
家族の愛という名の、他力による大団円でした。
「うちの母ちゃんやバアちゃん、そんな金持ってねーわ」という声が聞こえてきそうですが、言ってはいけません。
そして「他力本願で再現性が低いんじゃね?」とかも、きっと言ってはいけないのでしょう。
個人的に、美帆さんが副業したり起業したりして借金を何とかするのかな、とちらっと思いましたがそうではなかったのが残念でした。
でも、ハッピーエンド万歳のわたしはこれで良かったのではなかろうかと思います。
沼田翔平さんもそんな悪い人ではなかったですしね。
沼田翔平さんとの結婚をあきらめずに、翔平さんと借金を一緒に返済していくお金の使い方を選んだ、御厨美帆さん。
大切な家族の結婚を応援し、借金の返済に協力することにお金の使い方を選んだ、御厨琴子さんと両親。
みなさん、いろいろな選択肢があった中で死ぬときに後悔しないお金の使い方を選んだんじゃないでしょうか。
こんな家族であれば、お金がなかったとしても協力し合って借金を返済していけそうな気がします。
そんな勇気を「三千円の使い方」からいただきました。
「ない袖は振れない」よりも絶対に振れた方がいいと思います。
「三千円の使い方」には節約のヒントがたくさん詰まっていますので、
ぜひ読んでいただけたらな、と思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました。