【ネタバレ】「同志少女よ、敵を撃て」の登場人物をぜひ紹介したい

小説

「同志少女よ、敵を撃て」を読みました。

おもしろかったです。おすすめです。オリガ推しです。

同志少女たちが生きるために命をかけて戦うシスターフッドがすばらしく、物語の中には強くてカッコいい女性がたくさん出てきますから、特に女性に読んでいただきたいです。

ただ、長いのですよ。長い。480ページぐらいありました。

図書館で借りたぶんざいで「長い、長い」とか文句を言うのはなんなんですけど、読破するのに図書館で借りることができる期間ギリギリの2週間かかりました。

きついページ数に輪をかけて襲いかかってくるのが、リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリチェンコとか、イリーナ・エメリヤノヴナ・ストローガヤなんていう、こちらの舌をかませようとする攻撃です。笑

返却期間ギリギリまで引っ張ったし舌が痛いので登場人物の紹介しかできませんが、「おもしろいから読んでほしいなぁ」という気持ちで、「同志少女よ、敵を撃て」の登場人物を紹介します。

 



登場人物の紹介

とても魅力的な女性キャラ

イリーナ・エメリヤノヴナ・ストローガヤ

「お前は戦いたいか、死にたいか」と問い、セラフィマやシャルロッタなど、多くの女性を救った強くて優しい人。

狙撃学校の教官であり、90人以上倒した元狙撃兵。伝説の狙撃手リュドミラ・パヴリチェンコの相方だった。右手の人差し指と中指の第一関節から先がない。

シャルロッタがヤーナのことを「ママ」と読んでしまったときに、ヤーナが「みんなわたしのことはママって呼んでね」と言ったのに対して、イリーナが「わたしもそう呼ぶ」と言ったおちゃめなシーンが良かったです。

オリガ・ヤーコヴレヴナ・ドロシェンコ

昔は秘密警察(チェーカー)と呼ばれた、現NKVDに所属している。狙撃訓練校でのセラフィマやシャルロッタの同級生。卒業試験の手前まで自分がNKVDなのを黙っていたが、イリーナはオリガの正体に気づいていた。知らなかったセラフィマたちはビックリ。

なんだかんだと何度もセラフィマを助ける。イリーナぐらいセラフィマを助ける。でも助けるたびに悪態をつくツンデレ。オリガとセラフィマのあいだには、シスターフッドがあったと思う。

イェーガーとの戦いを望み勝手に行動したセラフィマのことが一番わかっていたのはオリガで、ピンチのセラフィマを助けた。でも最後にジョリー化したセラフィマに、けちょんけちょんに扱われる。その扱いはさすがに可哀そうだろう、と思いました。

アヤ・アンサーロヴナ・マカタエワ

カザフの天才。狙撃学校一の名手。ほぼほぼ、なんでもできる。でも、部屋が片付けられない。

「一ヵ所にとどまらず。自分の弾が最後だと思うな」という基本を忘れたため、同じところから狙撃を繰り返し反撃を食らってウラヌス作戦で木っ端微塵。

とある作戦でセラフィマもこの状態におちいったが、そこにイリーナがいたので助かった。あのときアヤのそばにも「イリーナがいたらなぁ」と思った人多数だと思う。

「戦死しなかったら戦後はどうやって生きていたんだろうか」と思うキャラクターです。

魅力的な女性キャラ

セラフィマ・マルコヴナ・アルスカヤ

愛称フィーマ。主役。

物語の最初はただの少女だったが、最後のほうは、おまえはソルトのアンジェリーナ・ジョリーか? その女諜報員アレックスのオリガ・キュリレンコか? みたいな超人に。

超人後は、こっちの弾は当たるがあっちの弾は明後日に飛ぶみたいなところがちょっぴりありました。

けれど、セラフィマがドイツ軍に捕まり逃げるところからのイェーガーとの決戦、そして証拠隠滅までは読みどころ満載です。

シャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ

お人形さんのような顔立ちの、モスクワ射撃大会の優勝者で、後のパン工場のお偉いさん。

貴族階級の出で、本人はそれが嫌。なので「プロレタリアート出身だったらよかったのに」と言っている。

最初はセラフィマと仲が悪かったが、親友に。「セラフィマがイリーナを殺すことが目的」と言ったら、「そのときはわたしがセラフィマを撃つ」と言ったが、そうはならなかった。

個人的に、もうちょい活躍の場があっても良かったと思うキャラクターです。

ヤーナ・イサーエヴナ・ハルロワ

愛称ママ。イリーナよりも年上。要所要所でセラフィマやシャルロッタを精神面で支える。

がしかし、子供のこととなるとロシアもドイツも関係なく突っ込む。そのために死にかけるも復活する。

戦争が終わって、シャルロッタとパン工場で働いていたが、心の後遺症に苦しんでいた様子。

タチヤーナ・リヴォーヴナ・ナタレンコ

愛称ターニャ。看護師。「精神が崩れるから健康は大事だ」とか言いながら煙草を吸っている。

イリーナに「戦うか、死ぬか」と聞かれ、「どっちも嫌だ。全部助ける」と言った、これまた強くて優しい女性。戦後も看護師として働く。

オス

ハンス・イェーガー

ドイツ人の狙撃兵。頬に傷がある。セラフィマの母、エカチェリーナを狙撃したのがイェーガー。

このときにイェーガーは「人間を狙う猟師は狙撃兵だから撃った」と言っているし、「女性への暴行は軍規に違反する」とも言っている。イェーガーが狙撃を楽しむ人殺しの鬼だったらこんなことを口にしないと思うし、エカチェリーナを撃ったことをしっかりと記憶していたことからも、イェーガーは狙撃がうまいただの人だったと思います。

ユリアンを狙撃したのもイェーガーだけど、ちゃんとした理由がある。セラフィマ側から見ると「ユリアン死んで悲しい。おのれ狙撃手め!」だけど、その前にイェーガーの弟子クルト・ベルクマンがセラフィマ側に狙撃され死んでいる。

またイェーガーは「いっそロシア人すべてが怪物だったら、どんなに楽だったろう」とも考えていることからも、イェーガーは狙撃を楽しむ人殺しの鬼ではないと思う。

ミハイル・ボリソヴィチ・ボルコフ

愛称ミーシカ。長身で金髪、アイスブルーの瞳で優しいという非の打ち所がないイケメン。セラフィマの幼馴染であり、婚約者であった。

がしかし、「女性を守るために戦う」という信念をかかげるセラフィマの前でおいたをやらかし、られるYO! セラフィマの前で「俺は大丈夫。俺は間違ったことはしない」ってあれだけ言ってたやん。

でも、あの状況だと仕方がないのかもしれない。というか、あの状況をおぜん立てしたミーシカを崇拝する舎弟が悪くてセラフィマの射程内。あの状況を運悪くセラフィマに目撃されていたミーシカ運悪すぎだYO!!

戦闘の最前線、マクシムアパートで出会った人たち

マクシム・リヴォーヴィチ・マルコフ上級曹長

アパートの家主。アパートと運命を共にした。戦争で娘二人と奥さんと死別。

ユリアンの父と同級生だったので、ユリアンのことを息子のように思っている。

ユリアンやセラフィマのような普通の子が、普通に人を殺し、それが普通になっていることに気がつかなかったことを悔やむ。

最後にマクシムがイリーナたちに向けて言った「ありがとう同志。あなたたちは確かに戦友だった」という言葉に感動しました。

フョードル・アンドレーヴィチ・カラエフ

元自動車工場の労働者。身長二メートルのムッキムキ。しかし柔和で馬のような優しい目をしている。マクシムアパートの中で唯一の生き残りで家族も生きている。地獄列車の優先座席に座ることができ、途中下車できた人。

ユリアン・アルセーニエヴィチ・アストロフ

元工科大生。緑の瞳を持つ美しい少年。狙撃兵。スターリングラードの狙撃大会優勝者。

ファーストコンタクトでモスクワの射撃大会優勝者のシャルロッタとハリアッタ。そしてイリーナにオコラレタ。

25人倒すと授与される剛毅勲章(ごうきくんしょう)まであと少しのところでイェーガーに狙撃され死ぬ。イェーガーに狙撃されたのは、大学の同級生を助けるために狙撃をしたから。

ボグダン

異常に口が悪い。でも本当は優しい。ドイツの狙撃兵に撃たれた子供を狙撃されると知りながら助けに行き死亡する。ボグダンを狙撃したのは、クルト・ベルクマン。イェーガーの教え子だった。

督戦隊に所属している。ちなみに督戦隊は、戦場の後ろから自軍を監視し、勝手に逃亡や降伏をしたら攻撃して強制的に戦闘を続けさせる任務を持った隊のことです。

セラフィマたちに「お前らドイツに投降したら、俺が処刑する」と食ってかかるボグダンに、「我々が投降できると思っているのか。このバカチン」なんてことをイリーナに言われて返り討ちにあった。

なぜイリーナたちが投降できないのかは、女性の狙撃兵が捕虜になったら、とんでもなくひどい扱いをされるから。

普通、戦場の後ろにいる督戦隊のボグダンが、スターリングラードでは最前線にいる。なぜか? それはスターリングラードには最前線しかないから、そんな激しい立地条件にマクシムアパートは建っている。

サンドラ

非戦闘員。がしかし、歴戦の兵士たちに「何を言っているんだ、こいつは?」と思わせたつわもの。

イェーガーを愛し、今は亡き夫を愛し、セラフィマたちを助けたいし、イェーガーにも生きていて欲しいし、おなかの子供も産まないといけないし、と右往左往している。

でも逃げることなく、一番正直に頑張っている気もするキャラクター。

イェーガーにヒューゴ・ボスの指輪をもらった。この指輪がのちにセラフィマとイェーガーの戦いで重要なアイテムになる。

そげキングの領域

リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリチェンコ

狙撃手の頂点。300人以上を倒した生きる伝説。

物語の最後の方で、リュドミラとセラフィマとイリーナで「狙撃兵とはなんぞや?」を語るシーンがあります。安全なところでの会話なので生き死にの緊張感はありません。ですが、元狙撃兵と現狙撃兵のやり取りは、また違った緊張感があっておもしろかったです。リュドミラの「愛するものを見つけるか。生きがいを見つけろ」という言葉は重かった。367ページあたりから必見。

リュドミラ・パヴリチェンコは、ホワイトハウスに行ったことがある。そのとき、大統領宅の池でボートに乗っているときにうたた寝ぶっこいてドボン。大統領夫人と友達になりました。という、おちゃめな逸話を持っている。

ヴァシーリイ・フリフォーリエヴィチ・サイツェフ

200人以上倒したレジェンド。というか、舌をかみそうな名前が伝説。入力しにくい。ユリアンの師匠。

さいごに

ざっくりと登場人物の紹介をさせていただきました。

セラフィマ側から見ると鬼のように見えるイェーガーにも、過去があり、そして理由があって戦っています。

だから、なんとなくイェーガーを憎めない。やりきれなくて悲しい過去があって鬼になった、鬼滅の刃の鬼のような感じです。

どっちが悪いのかがわからなくなってくる、やられたらやり返すの繰り返し。どこかでどちらかが泣いて終わらなければいけないのが本当に辛いところ。しかも絶対に割り切れないのが辛いところです。

セラフィマの母、エカチェリーナが「戦争は人を殺す」と言っていて、たくさんの素敵なキャラクターが死んでいきましたが、物語自体はハッピーエンドだったんじゃないかな、と思います。

時間がなかったことを言い訳に登場人物の紹介のみさせていただきましたが、それで良かったんじゃないかな、と思えるほど魅力的なキャラクター満載の「同志少女よ、敵を撃て」でした。

はじめにも書きましたが、個人的にはオリガ推しです。笑

いまえださく
いまえださく

以上です。

リュドミラ・ミハイロブナ・パヴリチェンコが標的を外すような長距離文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。