「英語日記BOY」は、英語日記を書き続け、海外で仕事ができるぐらいに英語が話せるようになった方が書いた本です。
著者は、語学留学や英会話スクールに行っていません。日本にいながら格安で英語が話せるようになりました。
英語を話すための素晴らしいアイデアを、わたしの感想をまじえながら紹介します。
(1)日本語で日記を書く。
(2)10秒で終わる短い英文に訳す。
(3)英文に訳すときは自分のレベルを知るために自力で英語にする。
(4)自力で訳した英語日記をオンライン英会話を使って添削してもらう。
(5)その後はスマホを使いシャドーイングと発音チェックをして、頭の中でひとりごとシミュレーションをしておく。
英語が話せるようになるためにする努力はこの5つです。
英語学習にお金をかけることができない方はチェックしてみてください。
英語が話せると言っても
「英語が話せる」と言っても、さまざまなレベルがあります。
・海外旅行で困らない程度の「英語が話せる」
・映画を字幕なしで見られる程度の「英語が話せる」
・海外で仕事ができる程度の「英語が話せる」
などなど。
求めている「英語が話せる」のレベルは人それぞれだと思いますが、本書で紹介されている方法であれば、海外で仕事ができるところまでの「英語が話せる」レベルにはなれると思いました。
英語日記を持続させる
血と汗にまみれた努力や根性は不可欠ですけど
格安で合理的、留学しなくても英会話スクールに頼らなくても「英語が話せる」ようになれる英語日記の書き方のポイントは5つです。
以下から、具体的な方法を紹介します。
日本語の日記を書く
1つ目のポイントは、自分にとって必要な言葉を使って日本語の日記を書くことです。
英語の日記を書く理由は、自分がいつか使うであろう英語のフレーズを先回りして言えるようにしたいからです。
いつか言えるようになったら便利なフレーズを知るためには、自分が「日頃どんなことをしていて」「日頃どんなことを考えているのか」を整理する必要があります。整理して出たフレーズを使い、日本語で日記を書けば、いつか言えるようになったら便利なフレーズがまとまるはずです。
ギターも弾かないのに「趣味はギターを弾くことです」のフレーズは覚えなくていい
ということかな、と、わたしは解釈しました。
また、日本語で日記を書いていると、どのように英語で表現してよいかわからない言葉がたくさんでてくるはず。このどう表現してよいかわからない言葉を先回りして言えるようにしておくと語彙も増えていく、と著者は解説されています。
要約文をつくる
2つ目のポイントは、要約文をつくることです。
また、日本語の日記を英語にするときは、全文を英語にしないこともポイント。特に言えるようになりたい文だけを英語にすることが大事です。
なぜか?
分の量が多いと、パッと言えないからです。
長い英文を話すのはもっと先でもいいのです。せっかく覚えた文を一か月後に忘れているようでは意味がありませんから。
短いフレーズを確実に覚えて積み重ねる。その積み重ねたフレーズがパッと口からでるようにすることにウエイトをおきたいです。
書いた日記にもし「これだ」という一文がないときは、日記の内容を要約するのもあり。
とにかく1日に覚える文の量は短めに。ハードルを下げることで、英語の日記を書くことに向き合いやすい状況を作り出すことが大切です。
目指すのは、10秒以内に言い終わる一文です
また、すぐに日記を書くことができる環境づくりも大事だと思います
なぜなら、人間の脳は20秒かかるとめんどくさいと感じるそう
ですから、20秒かからずに日記を書き始めることができる環境づくりも大切です
自力で英語にする
3つ目のポイントは、自分のレベルを知るために自力で英語にすることです。
自分のレベルを知るためには、英語で何を話せて、何が話せないかを確認することが必要です。そこで、自分の中にある言葉だけで英語の日記を書くことがポイントになってきます。
書けないフレーズが出てきてもオッケー。「言えなくて悔しいというドラマがあればあるほど、英語のフレーズは定着する」と本書では紹介されています。
また、日本語を英文にするときは、一言一句で直訳しないこともポイントです。
なぜか?
英文が不自然になるからです。
本書では、英文が不自然になってしまう例を「約束」の単語で説明されています。
約束を辞書で引くと「appointment」と出てきますが、この「appointment」は医者の予約やビジネスにおける一対一の約束で使う単語です。友人との遊ぶ約束があるの「約束」で正しいのは、「plan (to hang out)」です(111ページ)
では、どのように「英文が不自然」を回避するのか。
本書では、インターネットで自分が言いたいような例文を見つけて単語を入れ替える方法が紹介されています。
例
「明日ユウタと遊ぶ約束がある」を英語で言いたい場合
↓
手順1 インターネットを使い、「遊ぶ約束がある英語」で検索する
↓
手順2 参考にできそうな例文を見つける
I have a plan to hang out with my friends this weekend.
今週末、友達と遊ぶ約束がある
↓
手順3 ピンポイントで自分が言いたい単語
“my friends”を“Yuta”に
“this weekend”を“tomorrow”に入れ替える
↓
完成!
I have a plan to hang out with Yuta tomorrow.
112ページから
この方法を使えば、既存の例文から、最低限の単語を入れ替えるとネイティブのニュアンスのままに、オリジナルの例文ができます。
添削してもらう
4つ目のポイントは、オンライン英会話を使い、オリジナルの要約文を手に入れることです。
オンライン英会話の先生に、自分が書いた日記が自然な英文かチェックしてもらいます。
日記を添削してもらう流れは以下のように紹介されています。
オンライン英会話での「添削」の受け方
(1)授業がはじまり、先生と自己紹介をする
(2)レッスンに入る前に、こう尋ねる
Before we start the lesson, I have something to ask you.
I keep a diary in English. Could you check and correct my entry for today?
レッスンに入る前に、ひとついいですか。
僕は英語で日記を書いているのですが、今日の内容を添削してもらうことはできますか?
119ページから
著者曰く「自ら学ぶ意思」がある生徒は歓迎されるそうで、日記の添削を断られたことは一度もないそうです。
本書で紹介されているオンライン英会話は3つあります
いずれも著者が体験したオンライン英会話だそう。
(1)DMM英会話(多国籍の先生が在籍。世界中の先生と話ができる)
(2)レアジョブ英会話(何から始めていいかわからない初心者向け)
(3)Native Camp(24時間何回でも、予約なしでレッスン可能)
無料の体験レッスンがあると思いますので体験してみてはいかがでしょうか。
スマホにひとりごと
5つ目のポイントは、スマホにひとりごとを言うことです。
「フレーズは、実際に口に出した回数が多い順で使えるようになる」(130ページから)ということから、まず、スマホの音声読み上げ機能を手本にして何度もシャドーイングをします(シャドーイングとは、再生される音声を聞きながら同時に繰り返して声に出す練習のことです)
シャドーイングをするときに大事なことは、アクセントと単語が連続することで音がつながる部分を完全に再現することです。
シャドーイングに慣れてきたら、次は音声入力発音チェックをします。
音声入力ができる状態のスマホに話しかけ、同じ文章を表示させることができるかを試してみます。うまく認識できないところが出てくるはずですから、シャドーイングに戻ってお手本を確認。自分の英語を認識してくれるまで何度も口に出す練習を繰り返します。
スマホが自分の英語を認識してくれるようになったら、スマホとはお別れです。
次は頭の中に話し相手を作り、そのフレーズを使う場面を思い浮かべながら、英語でひとりごとを言う練習をします。事前にシミュレーションをしておけば、いざ英語を話す本番に「緊張して言葉が出ない」ことを防げます。
ちなみに練習の回数は以下の回数を目安に、と紹介されています。
・音声「読み上げ」のお手本を聞きながらシャドーイング → 30回
・音声「入力」で発音チェック → 30回
・「シャドーイング」ひとりごと → 40回
140ページから
まず口がフレーズを言いなれている状態を、いつか使うそのときのために作り出しておきます。
そのフレーズが必要になったときに自然にフレーズが出てくること、これが「英語が話せる」ということです。
おわりに
(1)日本語で日記を書き、
(2)10秒で終わる短い英文に訳す。
(3)英文に訳すときは自分のレベルを知るために自力で英語にする。
(4)自力で訳した英語日記をオンライン英会話を使って添削してもらう。
(5)その後はスマホを使いシャドーイングと発音チェックをして、頭の中でひとりごとシミュレーションをしておく。
英語が話せるようになるためにする努力はこの5つです。
5つの努力で英語が話せるようになるのであれば簡単……なのかもしれませんが、場合によっては、英語で日記を書き続けていくのは難しいかもしれません。
自分には英語の日記を書き続けるのは無理かも、と思った方に著者が書かれた言葉を最後に届けたいです。
人間は、曖昧なものは頑張れないが、明確なことは頑張れるからだ。
例えば、
「いつか海外のカフェで働いてみたい」
このような目標を掲げる人がいる。もちろん、きっかけとしてはいいと思う。
しかし、こんな突っ込みを入れることができないだろうか。
「いつかっていつ?」
「海外ってどこ?」
「カフェで働くって、具体的には?」
そう、これでは「曖昧」すぎて、毎日の大切な時間を「勉強・練習」に費やす理由としては弱い。だから頑張れなくなってしまう。「夢が叶う」とは、さまざまな誘惑があるなかで、テレビでもなく、SNSでもなく「勉強・練習する」という選択肢を選び続けて人に与えられるご褒美なのだと思う。
156ページから157ページ
もし、英語の日記を書くことを続けることができなかったとしても、この156ページから157ページを読めただけでも、本書を読んで良かったと思いました。
本書には、英語が話せるようになる方法はもちろんですが、著者の良い言葉、良い考え方や良いアイデアがたくさん詰まっています。
ですから、すでに英語が話せる方にも、英語が話せることに興味がない方にもおすすめできる本です。