「寓話」ってなに?
「寓話」は
教訓や風刺を目的にした短い物語のこと。
擬人化された動物が主人公になることが多いね
「イソップ寓話」が有名だよ。
ウサギとカメが競争するお話で、ウサギが寝っ転がっている横をカメが抜き去りビクトリー!
そんな「ウサギとカメ」の寓話は有名ですよね。
このお話から学べることはウサギの油断大敵。自分の才能にあぐらをかいたウサギの失敗談です。
本の良いところは、誰かの失敗をタダで得られることだと思います。
「失敗が良い教訓になった」なんてフレーズをよく耳にしますが、寓話は基本的に失敗談。
本書は失敗だらけのお話満載なので、お得感満点です。
誰かの失敗がタメになるというよりも、
「人の不幸は蜜の味」だから本書はおもしろいんですけどね(笑)
本書について簡単に
「仕事に効く 人生に役立つ 大人のための『寓話』50選」
(廣川 州伸 著、辰巳出版 発行)2020年3月5日 初版第1版発行 (本体1,300円+税)の本です。
第1章から第10章まであり、各章の中に5つのテーマがあるので寓話が50選。
目次を見て、自分が興味のある章、その中のテーマだけ読むということもできて時短にはなります。
が、全部読んでほしいです。
おもしろいので。
本書で1番タメになった寓話
本書で1番タメになった寓話は、34ページのテーマ06「完璧主義ではなく、『最善主義』を目指す」というテーマで、「画龍点睛を欠く」のお話です。
「画竜点睛」は、龍を描くことが上手い画家が、寺のふすまに描いた今までの最高傑作である龍の目玉を描きいれたとたん、ふすまから龍が抜け出し飛び去ってしまう、というお話。ちなみに「画龍点睛」は物事を立派に完成させる最後の仕上げのことです。
本書では「画龍点睛を欠く」のお話を、必要以上に完璧を求めず、ほどほどでいいという教訓寓話として取り上げています。
このテーマでいいと思ったのは、テーマをしめくくる教訓の言葉です。
必要以上に完璧を求めると、えてして責任を果たせない。ある意味、いいかげん=「よいかげん」が必要となろう。
36ページ(教訓 6)から
いいかげん=「よいかげん」は同じものという考えから、「いいかげん」から始めて「よいかげん」へ持っていく、という考え方はとても勉強になります。
この考え方が勉強になるということは、「とにかくやってみることが大事」「何事もやってみないと前進はしない」という心構えが自分に足りていないのかもしれません。
初めから完璧を目指して「う~ん、う~ん」と腕を組んでその場で足踏みしているのが一番ダメ。失敗しながらでも前進して良い方向に仕上げていけば良い。スタート地点から見える最初のゴール地点は「『画龍点睛を欠く』でもいいのかな?」と思いました。
ちなみに「画龍点睛を欠く」は
全体的に見るとよくできているんだけれど
肝心なところがイマイチであることのたとえ
です
こんな考え方がしたいと思った寓話
こんな考え方がしたいと思った寓話がありました。
43ページ、テーマ09の「情報のシャワーから逃れる」の寓話、「大勢からの悪口」です。
ある君主に信頼されていた重臣が戦争回避のため人質として敵国に出向くことになりました。
重臣の留守中に同僚が自分の役職を狙ってくると考えた重臣は君主にお願いをしました。
重臣「わたくしの留守中にわたくしの悪口をいうものが出ると思いますが、信じないでください」
君主「わかっておる。心配するな」
君主が自分の心配を軽んじている気がしたので、重臣は続けて言いました。
重臣「もし誰かが、城下にトラが出たと言ったら信じますか?」
君主「信じるわけがない」
重臣「では、2人の者がトラが出たと言ったら?」
君主「信じることはない」
重臣「それでは、5人の者がみなトラを見たと言ったら、どうでしょうか?」
君主「うーん・・・・・・信じるかもしれぬな」
城下にトラが出ないことなど誰もが知っているけれど、何人もの人が声をそろえてトラを見たと言えば、どうしても信じてしまう。だから、同僚の言うことは信じないでー。これが重臣が君主に伝えたかったことです。
その後、重臣は敵国に出向きますが、君主が複数の同僚の悪口を信じてしまい、重臣は役目を終えても城に帰ることはできませんでした。というオチの寓話です。
この寓話の教訓は「自分でコントロールできない情報には期待しないこと。思い通りになるとは限らないから」と書かれています。
この寓話の教訓に「なるほど」と思いつつも、「5人がトラを見た」と言ったときに、わたしは「こんな考え方がしたい」と思いました。
マジかー、トラが城下町にいるわけないしなー
いやでも5人が見たと言っているしなー
でもなー、やっぱり城下町にトラがいるわけないしなー
そうだ、自分の目と耳で確かめに行こう!
という考え方です。
100人が右と言っても、ちょっと左のことを考えられる心の強さが欲しいです。
まとめ
「致命傷は避けて生きていきたい」というのは当たり前。
一撃で致命傷に当たる可能性は低いのかもしれませんが、チビチビと傷を抱えるうちに、その傷をほったらかしにしておくうちに、取り返しがつかないことになっている可能性もあります。
本書の中にある寓話=失敗を教訓にすると、そんなチビチビの傷が、ひいては致命傷が避けられるかもしれません。
本書は、文字数も少なく、ところどころに挿絵もあって読みやすいです。2,3時間あれば読めると思います。
コーヒーブレイクとして、章と章の間にクロスワードパズルもありますから、コーヒーでも飲みながら読んでみてはいかがでしょうか。