【ネタバレ】「おいしいごはんが食べられますように」を読んだ感想

小説

高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」を読みました。

大好きなあの人が、今日もおいしいごはんが食べられますように……

みたいな話かと思って読んでいたら、全然違うやん! みたいな。(笑)

図書館の予約数が多いからというだけで借りて読み始めた「おいしいごはんが食べられますように」の感想や登場人物、お菓子を捨てていたもう一人の犯人のことなどを書きたいと思います。

 



お菓子を捨てていたもう一人の犯人は?

「お菓子を捨てていたもう一人の犯人は?」という謎ですが、正直なところ誰でもいいんじゃないですかね。と個人的に。

著者が特定の人をお菓子捨ての犯人にしたければ、もうちょいヒントを出すような気がします。

お菓子捨ての犯人は、真の姿がやり手のしたたか屋さんだったりする芦川さんだったのかもしれませんし、実はパートの原田さんも「ダイエット中にケーキばっか持ってきやがって!」なんて、はらわたが煮えくり返っていてお菓子を捨てていたのかもしれません。

お菓子を捨てていた二谷だって「潰して捨てていた」と話してはいるものの、割と適当な性格のようなので潰れていなかったお菓子があった可能性だってあると思います。ちょい強引か。(笑)

正直なはなし、物語にそごが生じなければ、社員Aでも社員Bでも構いませんよね。なので、誰にだってお菓子を捨てていた犯人の可能性はあると思いました。

本書を読んでいて、芦川さんにむかついたら芦川さんを犯人にしてもいいし、パートの原田さんにしゃしゃり出すぎを感じてむかついたら原田さんが犯人でもいいし。みたいな感じだと思うのですが、どうでしょうか。

芦川さん嫌い たぶん きっと

芦川さんは、女子に嫌われるキャラクターでしょうね。きっと。

でも、男子には好かれるキャラクターですよ。たぶん。

わたしは芦川さん嫌いかな。個人的に。

押尾さんが猫を助けているときに「自分だけ傘をさすのかい」「一歩ぐらい近づいて押尾さんに雨が当たらないようにできんのかい」と思いました。

それはさておき、わたしは仕事ができて、お菓子作りも得意な人が好きです。たぶん。

いや、仕事ができてめっちゃ稼いできてくれて料理が得意な女子を嫌いな男子はいませんよね。きっと。(笑)

結末

結末は?

ある意味ホラーだと思いました。

二谷さん。机に潰したケーキを置いたことをなんで押尾さんに言うの?

言わなくていいじゃん。ホラーじゃん。

というか、それを聞いた押尾さん。

なんで、普通なの? しばらく考えて「ま、いいです」はないだろう。吐きそうになってたじゃん。ちょっとぐらい、むかついたら? 

ホラーのホラー返しじゃん、と思いました。

それはさておき、

二谷さん、ご飯をふるまってもらうことを自分への攻撃だと感じる人となんで結婚しようとしているの?

「二谷さんと食べるごはんは、おいしい」と、ほほ笑んで言ってくれた人と結婚した方がいいんじゃないの?

でもしかたないか、「わたし、毎日、おいしいごはん作りますね」と言った、芦川さんの顔は容赦なくかわいかったのだから……って、だまされるな。その笑顔は、ホラー映画でよくあるトラップだ。(笑)

登場人物

・二谷 29歳の男性社員。芦川と付き合っている。おいしいごはんというか、ごはんに興味なし。食べなくても生きていけるなら「それ最高!」な感じの人。芦川が時間と手間をかけて料理を作る意味がわからないし、芦川も芦川が作った料理も大切にしない。で、そんな芦川と結婚しようとしているから、個人的に意味が分からない。

・芦川 30歳の女性社員。二谷と付き合っている。仕事は得意ではないが、料理は得意。ほがらかで、ちょっと天然なので男子は好きなタイプ。ナッペを学ぶために遠出するよりも、早退しなくてもいいように偏頭痛に対する勉強をするべき人。早退する、「芦川さん大丈夫?」、ケーキ作る、「おいしい」と言ってもらう……会社へ行く目的がこのループになっている気がする。個人的に、支店長、藤&原田を操っているような気がする。

押尾 28歳の女性社員。仕事はツラくても頑張ってやり遂げる派。仕事をほったらかす早退マニア芦川が嫌い。そんな芦川がほかの社員さんから理解されているのも嫌い。二谷が好きで、よく飲みに出かける。二谷といい感じのところまでいくが結局ラストまではいかず。最後になぜ二谷をぶん殴らなかったのか不明です。個人的に、いろいろと深く考えすぎだと思う人。新しい職場で頑張って!

・藤 二谷や芦川の上司。40過ぎの既婚者だけど妻に逃げられ中。早退マニアの芦川に理解があるけど、それは「無理させて何かあったら、あとでめんどくさいじゃん!」程度の理解だと思いきや……。新年会では芦川に「よしよし」されていた。はたから見るとセクハラだし、藤から見ても得した感じ。だが、そうじゃない。あれは魔性のおんな芦川の作戦だ。(笑)

・原田 女性のパートさん。正義感が強くストレートに話す。お菓子の事件があったあと、藤に告げ口をする。ただ、新年会で芦川と藤のやりとりを見ていたときの態度やコメントを見ていると、この人もちょっとズレていると思った。また、押尾さんが追及されているときに「睨んでんじゃないよ」とつぶやいたことにも驚いた。

芥川賞 選評

第167回 芥川賞受賞作品

「おいしいごはんが食べられますように」 高瀬隼子 著

選考委員の中には「候補作のうちで、ずば抜けて面白い」と評価した方や、「人物の関係を立体的に書き出すことに成功している」と評価された選考委員の方がいました。

第167回 芥川賞候補作品

「N/A」 年森瑛 著

「家庭用安心坑夫」 小砂川チト 著

「ギフテッド」 鈴木涼美 著

「あくてえ」 山下紘加 著

第167回 芥川賞候補4作品のあらすじを検索してみましたが、読みたいと思ったのが「家庭用安心坑夫」でした。

あらすじには、主人公が「坑夫姿のマネキン人形があなたの父親だと母に言い聞かされ育つ」とあるのですが、何それ!?(笑)

「家庭用安心坑夫」 ぜひ、読んでみたいと思います。

高瀬隼子(たかせじゅんこ)さん

「おいしいごはんが食べられますように」の著者は、高瀬隼子さん。隼子で「じゅんこ」と読むんですね。はじめて出会った読み方のお名前です。

高瀬隼子さんの著書には、第43回すばる文学賞を受賞した「犬のかたちをしているもの」や、第165回芥川賞候補になった「水たまりで息をする」などがあります。

個人的に知っていたのは「犬のかたちをしているもの」でした。

「犬のかたちをしているもの」は、タイトルだけは知っていて、図書館で借りようとしたことがありました。でも、読むにはいたらずの現在です。

というか、むちゃくちゃお綺麗な方ですね。高瀬隼子さん。

何気に「おおぉ!」とか声が出てしまいました。(笑)

感想

何の予備知識もないままに読み始めたので、最初は「なんだこれ?」という感じでしたが、最後も「なんだこれ?」でした。(笑)

「なんだこれ?」でしたけど面白くなかったわけではありません。

これぐらいの規模の営業所内では、こんなこともありそう。わたしだったら、お金出してまでケーキ食べるかな? 美味しそうなケーキのときだけ食べるのはなしかな? 毎日のようにケーキ食べていたら太るしな。とか、芦川ケーキを食べるはずがない自分に感情移入するのは楽しかったです。

ですが、登場人物に対しては、ほとんど感情移入できませんでした。それが逆に面白かったです。

特に、二谷に感情移入はできませんでした。わたしは食べることが大好きだから。(笑)

個人的に「この食べ物でカロリーとりたくないな」と思うことはありますが、二谷が食べ物に感じる憎悪に近いような感情を持ったことはありません。

というか、二谷のような人いるんですかね? 二谷は摂食障害ではないですよね。ビール飲みまくっているし。カップ麺食べまくっているし(笑)

登場人物の行動や言動に「気持ち悪い」と思われる方も多いと思いますが、営業所ワールドで比類なき力を持つシテンチョウ&フジが守る魔女アシカワに戦いを挑み追い詰めるも、仲間パーティーの裏切りにあい、敗走する勇者オシオの冒険小説と考えるなら、感情移入もできて「気持ち悪い」とは思わないはず。いや無理か。(笑)

「『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子 著」 サクサク読めて面白いので、ぜひ。

いまえださく
いまえださく

以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。