むかしむかし、仙桃城の町は李家鎮と呼ばれていて、李大綱が統治していました。
この李大綱はニセモノで、中身は周天佑という殺人犯。そのことを見抜いた楊日綱に周天佑は殺害されて、楊日綱は孫悟空となります。
孫悟空は李大綱の亡き後、李家鎮と呼ばれた町、仙桃城を統治します。
もう何がなにやらでしょ?
最初、どれが人の名前で、どれが町の名前なのかもわかりませんでした(笑)
鶏冠山にはロシア人神父、クラスニコフの教会がありました。
このクラスニコフ神父が孫丞琳に言った言葉が勉強になったので書いておきます。
祖国ロシアには、「キノコと名乗ったからには籠に入れ」という言葉があります。
一度手をつけたら、最後までやり遂げなさい、という意味です。
第九章 295ページから
ちなみに、孫丞琳は楊日綱というか孫悟空の娘です。
はい! さらにめんどくさくなってきた(笑)
でも、いいキノコというか、教訓ですよね。
覚えておこうと思います。
前置きが長くなってしまい、すいません。
ちなみに、ハンター×ハンターの話は「第二章 1901年、冬」のところです。
以下から、あらすじをネタバレ有りで書きますので、よろしかったらお付き合いください。
あらすじ
序章 1899年、夏
高木と細川が船でハルビンへ向かっていました。
高木は軍人で、細川は通訳として連れてこられた大学生です。
高木は細川のことを「燃えない土」と言っています。
「燃えない土」とは、役に立たないポンコツのことで、細川は時間があると嘔吐するか下痢をしていました。慣れない土地での過酷な環境に対応できない繊細さんなんでしょうね。正直、同情します。
ただこのポンコツ細川さん、下船するときに男気全開な行動をします。
その行動とは、高木が持っていた小刀を「それは自分のです」とロシア兵に言い切ったことです。
下船の前に細川は、「ロシア兵に小刀が見つかるとひどい目に合うから捨てといてね」と高木に言ったのですが、「その小刀は大事なもの。軍人の証なんだ」とか言っていました。
それを聞いた細川が「いやいや、命と小刀どっちが大事なのよ?」と言ったら、高木は「捨てた」とウソをつき、自分の鞄に小刀を隠しました。
で、案の定、小刀がロシア兵に見つかります。高木がオロオロしている間に、ポンコツ「燃えない土」とか表現していた細川に助けられるてしまうという、情けねぇ高木さんでした。
おかげさまで細川はロシア兵に連れていかれ、高木は拘束されます。最後は細川がロシア兵から小刀を取り返し、高木が拘束されている部屋に来て一件落着するのですが。
その他、細川さんのお父さんとお母さんの「不吉な符丁」の話も必見とまではいきませんが、なんかサラッとしていて面白かったです。ぜひ読んでみてください。
細川さんは最後まで出てくる主要キャラです。
細川さんの今後の活躍は「燃えない土なんて呼ばせねえぜ!」どころか、土のかけらもございませんな、「高木さん見てますかーっ!!」な大活躍を見せつけてくれます。
ロシア兵に小刀(軍刀)が見つかるエピソードは、最後の最後でとてもいい感じに伏線回収されます。
第一章 1901年、冬
第一章は、ロシア人宣教師のイヴァン・ミハイロヴィチ・クラスニコフ(以下、クラスニコフ)と通訳の林(リン)が、義和団(ぎわだん)を避けつつ、李家鎮(リージャジェン)の町から脱出する物語です。
義和団(ぎわだん)とは、宗教的な秘密結社です。
キリスト教の布教や当時の社会矛盾などに不満を持ち、扶清滅洋(ふしんめつよう)を唱えて武力的排外運動を行いました。
ちなみに「扶清滅洋」とは、清を扶(たす)けて、外国(洋)を滅ぼす、ことです。
「洋鬼子(ヤンクイヅ)と二毛子(アルマオヅ)の皮をはぎ、頭蓋に義和団の旗を立てろ!」とか、おっかないセリフが出てきました。
また、人の名前なのか町の名前なのか分かりづらく、読みづらい言葉が出てくるのがココからです。
洋鬼子は、クラスニコフさんのような外国の文化やら宗教などを広めようとしている人のことで、二毛子は、クラスニコフさんのような人たちを助ける現地の人々(林さん)のことを指します。
第一章では、クラスニコフとともに神様に祈りをささげていた劉神父(リュウシンプ)さんが、右耳から頭のてっぺんに向かってクギを打たれて殺されるという、残酷描写がありました。
逃走劇といっても、クラスニコフさんの昔話や心の中の描写が多く、ハラハラドキドキはあまりありませんでした。
第二章 1901年、冬(ハンター×ハンター)
楊日綱(ヤンリーガン)が神拳会に入会し「神の拳」を習得する話です。
神拳会では「硬気功」の奥義を教えていました。硬気功は己の気を操り、体の特定の部位を硬くする奥義です。
硬気功を得るための修行に「土木反転」という地味で退屈な鍛錬がありました。高いところから何回も何回もただ飛び降りて、石のような硬さの土に体を当てて土を破壊するというものです。
この「単調な修行を繰り返すというシーン」=「ハンター×ハンター」です。
一日一万回。
5年も10年もそれのみに没頭した、音を置き去りにする、ネテロ会長の感謝の正拳突きをモチーフにしたらしいです。
楊日綱は孫悟空ではなく、百式観音になってほしかったな、と個人的に。
第二章は「土木反転」の鍛錬がとてつもなく真面目に書かれているのがおもしろかったです。
第三章 1901年、冬
かなり長い話の第三章です。
高木と細川が楊日綱(ヤンリーガン)と出会った話。
周天佑(チョウテイエンヨウ)が父を殺し逃亡して、やがて李家鎮(リージャジェン)で李大綱(リーダーガン)を演じることを決めた話。
楊日綱が、李大綱は周天佑だと見抜き殺害した話など。
最後に、楊日綱が、孫悟空(ソンウーコン)へとレベルアップしました。
読みごたえがある第三章です。
李家鎮という場所を立派な町にした李大綱はニセモノで、しかも殺人犯でした。
そのニセモノ殺人犯が、最後に殺されてしまうのが「皮肉なことに」というか「因果応報よね」で、おもしろかったです。
ちなみに本物の李大綱は、周天佑が李家鎮に来る前に腹上死しています。
第四章 1905年、冬
高木が戦死する話です。
ロシア軍が機関銃を設置している志那屋敷へ突撃を命じられた高木大尉の歩兵第六連隊でしたが、いざ戦闘がはじまると命令系統が機能せずボロボロにやられました。
味方の死体が積みあがっていく中、高木は志那屋敷に突入します。
高木は屋敷の中にいたロシア兵とダブルノックダウン。高木の最後の一撃は、細川が取り戻してくれた、あの日の軍刀でした。
その後、福田と細川の出会いが描かれます。
高木の隊に福田の弟がいて、福田と高木も同期でした。
高木さんが亡くなったのが残念でした。
でも、ここで高木さんを亡き者にしないと後々の伏線が……みたいな。
最後に細川と高木が知り合いだったことが福田にわかる伏線回収は良かったです。
また、福田は高木を嫌悪していましたが、最後にわだかまりがとけて良かった。
第五章 1909年、冬
オケアノス=須野明男(スノ アケオ)。
細川のセンスが炸裂する第五章でした。
これだけで十分な第五章ですが、寂しいのでちょっと書きます。
須野と細川の出会い。
須野が、戦死した高木の妻、高木慶子に一目惚れしましたが撃沈。
キューピット細川のナイスアシストが炸裂しました。
須野と細川の出会いが丁寧に書かれていました。
そのときの須野と細川のやり取りがおもしろかったです。
まぁ何にせよ、細川が炸裂する第五章でした。
第六章 1923年、秋
慶子の息子の明男の話です。
明男は11歳になりました。
明男は内向的で何を考えているのかわからないところがありました。そんな明男を「軍人にしてはいけない」と慶子は考えていました。理由は、明男のような人間が軍人になったら、変なところで勇敢さを発揮し、高木のように死んでしまうと思ったからです。
明男は8歳のころに時計がなくても1時間を誤差なく計ることができました。
その後、温度計を与えられた明男は、9歳のころには温度計がなくても大体の気温がわかるようになっています。
兄の正男が熱を出したときに額に手を当てた明男は正男の体温を言い当て、水に手をつければ水温がわかり、地面に手を置けば地温を当てました。
そんな中、関東大震災が発生します。
みんなが逃げ惑う中、自分の後頭部に火が燃え移っていることにも気づかないで、明男は地温を計っていました。
明男は、慶子に温度計を取り上げられます(笑)
そんな第六章でした。
あまり「おおぉっ!」と、もり上がるところはなかったです。
第七章 1928年、夏
満鉄の福田、細川や須野が、京都帝国大学の一木教授や三井物産の棚橋部長、山井大尉や松浦商会の横山らと会議をする話です。
この集まりは「日華青年和合の会」といい、細川は会議で「満蒙の未来は共存共栄しかない」と訴えますが、「その考えは理想論すぎる」と参加者に細川の考えは届きませんでした。
そんな中、「張作霖(ちょうさくりん)が殺された」と連絡が入り、会議は突然幕を閉じました。
第七章は、ほぼ会議。
なので、ハラハラドキドキはありません。
個人的に微妙な第七章でした。
ただ、冒頭の福田と細川の建築クイズはおもしろかったです。
第八章 1932年、春
孫丞琳(ソンリンチョン)や林(リン)が炭鉱を襲撃する話です。
ちなみに孫丞琳は孫悟空の娘で、林はクラスニコフ神父の通訳をしていた人です。昔、林とクラスニコフ神父は孫悟空に助けられたことがありました。
炭鉱襲撃の日、孫丞琳と明男はダンスホールで一緒にダンスを踊り、一緒にダンスホールを抜け出しました。
ダンスホールを抜け出し準備万端で炭鉱襲撃へと向かった孫丞琳でしたが、林さんが「なんやカンヤやらかし」炭鉱襲撃は失敗します。
日本人は炭鉱襲撃の報復として、鶏冠山集落の人たちを皆殺しにし、集落を焼き払いました。
明男は孫丞琳とダンスをしたことや、明男は虐殺が行われる少し前の鶏冠山の集落へも足を運んでいたことが、のちのち伏線回収されます。
鶏冠山集落での理不尽な虐殺は、圧迫感がすごく読んでいて悲しくなりました。
逆に、炭鉱襲撃のシーンは、もう少し緊迫感が欲しかったです。
というか、炭鉱襲撃が失敗したのは、林さんのせいではないような気がします。
第九章 1932年、秋
炭鉱襲撃が失敗した後の話です。
安井が林をおとりにして、孫悟空と娘の孫丞琳(ソンチョンリン)を逮捕しようとします。
林は逮捕しましたが、孫悟空と孫丞琳には逃げられました。
細川が満鉄を辞めます。細川が辞任して空席になった仙桃城工事事務局所長の後任には、松浦商会の取締役の横山が着任しました。
横山が所長になると、須野は満鉄でやりたいことができません。須野は満鉄を辞めるかどうかを細川に相談したり、さんざん悩んだりします。
結局、須野は満鉄に残り仙桃城の都邑計画(とゆうけいかく)を続けることに決めました。
孫悟空と孫丞琳の親子ゲンカがおもしろかったです。
このあと、この親子がどうかかわっていくのかが気になりますし、
孫悟空が何を考えて行動しているのかも気になります。
第十章 1934年、夏
明男は石本に「千年に一人の秀才」という中川を紹介されます。
中川は建築に詳しく、明男は中川と仲良くなります。
明男、石本と中川は「青年建築家同盟」を立ち上げ、機関誌を発行することになりました。
初めはうまくいっていた青年建築家同盟の活動や機関誌の発行も、石本の使い込みが発覚したり、特高警察に目をつけられたりで青年建築家同盟は解散します。
その後、明男は軍に入隊し、石本はKという謎の人物に裏切られ、特高警察に逮捕されました。
特高警察に逮捕された石本は謎の人物Kのことをかばい死ぬ覚悟をしますが、細川に助けられて仙桃城へ行き、そこで明男と再開します。
石本の頭から「Kは見ている」という言葉が離れないほど、「Kって誰だと思う?」とKのことを読者に宣伝してくれますが、謎の人物Kはこの章ではわかりません。
めちゃくちゃ長い第十章ですが、ハラハラドキドキするようなシーンはありません。
細川が「地図と拳」という、難しい講演をしたりします。
軍へ入隊する明男に母の慶子が言ったことが印象的でした。
死んで勇敢になるくらいなら、臆病でも卑怯でもいいから生き延びなさい。
最後まで臆病を貫き通しなさい。
第十章 353ページから
第十一章 1937年、秋
謎の人物Kが誰かわかります。
Kは中川でした。
すごいオチ。
林が殺されクラスニコフが仙桃城の地図を作り始めます。
危険なので、孫丞琳はクラスニコフの地図作りについて行き、あちこち一緒に回りました。
そんなある日、一人の日本人と出会います。
明男でした。
明男は、一緒にダンスを踊った孫丞琳のことを覚えていました。
というか、明男は孫丞琳に「僕とは1932年3月2日、午後10時11分にであったはずです」「室温は16度で、湿度は70%でした。僕たちは一緒に外に出ました。外は氷点下2度で、湿度は30%でした」とか、ウルトラスーパーストーカーでも言わないような怖いことを言う始末です。
明男は、鶏冠山での虐殺を知り、別れ際にクラスニコフと孫丞琳の写真を撮りました。
第十二章 1938年、冬
明男は鶏冠山集落で大虐殺が行われた日、鶏冠山集落で写真を撮りながらウロチョロしていたので拘束されました。
明男は、そのとき自分を拘束した安井と再会します。安井は明男を拘束したことを覚えていませんでした。
安井は憲兵中佐となっており、「仙桃城での再開発計画をすべて白紙にする」と明男や明男の父に伝えました。
再開発計画中断による会議を終えた明男は、これから公園を作ると決めました。明男はその後、「李家鎮(リージャジェン)公園」を作ります。
孫丞琳(ソンチョンリン)は、黄宝林(ホアンパオリン)の勧めというか、脅しで衛生班に加わることになりました。
第十三章 1939年、夏
安井は仙桃城(シェンタオチョン)の再開発計画が潰されたことに、はらわたが煮えくり返っていました。
安井にはどうでもいいように見えた再開発計画なのですが、安井は安井の正義や考えがあり、仙桃城の再開発計画のために下げたくもない頭をあちこちで下げていました。
自分の正義をコケにされた怒髪天安井は、犯人を捜すべく非番の日に独自捜査を開始。何カ月もかけて犯人を捜しますが、独自捜査は徒労に終わります。
踏んだり蹴ったりの安井でしたが、さらに運が悪いことが起きます。捜査の帰り道に便衣兵に命を狙われました。
この便衣兵を差し向けたのは黄宝林(ホアンパオリン)でした。
便衣兵とは、一般市民と同じ服や民族衣装などを着用し、民間人に紛れて各種の敵対行為をする軍人のことです。
「便衣兵」は初めて聞いた単語でした。
石本は明男の設計した「李家鎮公園」を眺めることができる鶏冠山ホテルの最上階のカフェで、中川が戦死したことを知りました。
石本は最後まで中川がKだということを知りませんでした。
いや、ひょっとすると、うっすらと知っていたのかもしれません。
なんて、考えながら読んでいると少し悲しくなりました。
第十四章 1939年、冬
細川が城嶋源造という泥棒を雇い、いろいろと盗ませます。
細川が城嶋源造に盗ませた物の中には、明男が李家鎮公園のために用意したモニュメントもありました。
細川と明男は釣りに行き勝負をします。
釣りの勝負は細川が勝ちますが、12月の満州の池に入って釣りをした細川は風邪をひき3日間寝こんだ挙句、足の指8本が凍傷になりました。
二人が釣りをしていたときに話した、エンパイア・ステート・ビルの話がおもしろかったです。
超高層ビルを実現させた技術は2つあり、1つ目はエレベーターで、2つ目は空調の発明という話しでした。
普通に「あぁ、なるほど」と思いました。
釣りの勝負に負けた明男は、細川との約束で軍隊に戻ります。
第十五章 1941年、冬
細川とのフィッシング対決に負けた明男は、辺境の地へ行き、そこで使われる建材を節約する仕事をしていました。
明男があちこちで建材を節約している間にソ連はドイツと喧嘩をはじめ、帝国軍は真珠湾を攻撃します。
明男は建材を節約しながら、エンパイア・ステート・ビルを建てる技術を持つ国とケンカをしても勝てるはずはないと思いました。
黄宝林(ホアンパオリン)は「千団大戦(チェントウアンタージャン)」と名付けた都市破壊戦を、仙桃城で始めようとします。
第十六章 1944年、冬
久しぶりに孫悟空(ソンウーコン)が登場します。
孫悟空は5年前から千里眼ビルディングの8階の客室で生活していて、最後に部屋から出たのは2年前でした。
部屋から出た孫悟空を迎えたのは細川でした。
細川は千里眼を持つ孫悟空に「今日、仙桃城が襲われるのか?」とたずねます。
孫悟空は黙ってうなずき、「最後まで残り、花火が上がるのを待つ」と答えました。
仙桃城が襲われた日、明男は孫丞琳と李家鎮公園で再会しました。
李家鎮公園で孫丞琳は、孫悟空が言った「俺たちは花火だ。この先の何千年も花火なんだ」という言葉を思い出します。
物語も佳境なので、このあたりからの怒涛の伏線回収はおもしろかったです。
第十七章 1945年、夏
8月15日の正午、安井は日本が戦争に負けたことを知りました。
でも、安井は日本が負けたことを認めません。
それどころか「日本は負けたんです」と言った通信士を殺そうとしました。
安井は営倉に入れられ、その夜、安井は営倉で自死しました。
日本が敗北し孫丞琳は釈放されました。
クラスニコフ神父のところへ戻った孫丞琳は、そこで老いてやせこけた孫悟空と会います。
孫悟空は孫丞琳に看取られ死にました。
明男は日本へ帰る船で細川と会います。
細川は明男に「上陸の際に米軍の持ち物検査があるので、見つかってまずいものがあったら今のうちに海に捨てておけ」と言いました。
「どうしてそんな話を?」と聞く明男に、細川は「昔、バカな男が軍刀を持ち込もうとしてロシア兵二見つかって面倒なことになった」と言います。
明男は、「今までありがとう」とつぶやいて、高木大尉の軍刀を海に向かって放り投げました。
細川と明男のやり取りが最高でした。
ただ個人的に、1899年の夏、高木がやらかしたことを明男にやってほしかった。
そして、細川に「お前もかっ!!」といってほしかった(笑)
終章 1955年、春
明男は10年ぶりに仙桃城(シェンタオチョン)へやってきました。
今の仙桃城は廃墟になっています。
明男が仙桃城に来た目的はクラスニコフ神父に会うためでした。
明男の父がずっと探していた青龍島(チンロンタオ)の謎の鍵がクラスニコフ神父だったからです。
クラスニコフ神父は50年以上前、制作した地図の中に青龍島を描きました。
クラスニコフ神父が青龍島を描きこんだ理由が知りたかった明男でしたが、クラスニコフ神父はすでに亡くなっており真相は不明のままです。
ですが、クラスニコフ神父の残した地図と、孫丞琳が言った言葉でひらめいた明男は、青龍島が描きこまれた理由にたどり着きました。
青龍島は李家鎮の住民の理想郷として描かれ、また、クラスニコフ神父にとっての楽園として描かれたのでした。
なんか、んっ!? という感じでした。
青龍島を描いた理由ってそれ? という感じでした。
明男が言うのなら、それ? が正しいのでしょう(笑)
そんなことよりも、明男と孫丞琳のその後がちょっと知りたいです。
さいごに
「地図と拳」のあらすじをネタバレ有りで書きました。
「地図と拳」は600ページぐらいあり、とにかく読むのに時間がかかると思います。
わたしは図書館で借りたのですが、返却日2日前に300ページくらいを一気に読み切り大変でした。
予約してから借りられるのに5か月ぐらいかかりましたから、もう意地になって読み切った感じです。
本書は約600ページとボリュームたっぷりで、「とてつもなく入り組んだ人間関係の伏線を回収していく」という感じではありませんが、Kが中川だったように、須野が人生をかけて探し求めていた青龍島を地図に描きこんだのはクラスニコフ神父だったりと、ところどころに飽きさせない工夫があって最後まで楽しく読ませていただきました。
読み切った今は、細川が「上陸する前にヤバいものは海に捨てておけ」と親子代々に言ったシーンを読めたことを誇りに思います。
ということで、「序章 1899年、夏」を読んで心が折れた人でも、すっ飛ばして「第十七章 1945年、夏」だけは読んでいただきたいです。
そうすると、細川と高木親子の素敵なやり取りが読めますから(笑)
いやぁ、ホント長かったです。
みなさんもお時間を作ってぜひ読んでみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。