「魔女と過ごした七日間」のシリーズを読む順番のオススメはこうです。
1.ラプラスの魔女
2.魔力の胎動
3.魔女と過ごした七日間
「ラプラスの魔女」の続編が「魔女と過ごした七日間」で、「ラプラスの魔女」よりも前の話が「魔力の胎動」です。
発売された順番に読むのが良いと思いました。なぜなら、おもしろい順だから(笑)
「ラプラスの魔女」を読んでおもしろいと思ったら、「魔力の胎動」を読んだらよいと思います。
ただ「魔女と過ごした七日間」は……という感じです。個人的に。
「魔女と過ごした七日間」は羽原円華があまり活躍しません。各章ごとに、チーム円華のターン、ポリス脇坂のターンと進むので、「ラプラスチートキター!」というのが薄めで、個人的には物足りなさが残りました。
個人的に「羽原円華のラプラスチートをもっと見たかった」というのが正直なところです。
「魔女と過ごした七日間」の簡単なあらすじを章の順番(1から30)に書きますので、よろしかったら読んでみてください。
そして、「おもしろそう」と感じたら、本書をぜひ手に取ってみてください。
遅くなりましたが、お越しいただきありがとうございます。
お時間ございましたら、お付き合いください。
簡単なあらすじ 1から4
1
陸真は図書館でけん玉の玉を思い通りに操る女性と会います。
その女性はけん玉の玉を転がし、閉じる寸前のエレベーターの扉に挟んでみたり、陸真が適当に投げたけん玉の玉をけん先に収めたりしました。
また、その女性は、天気を見事に言い当て、陸真は濡れることなく帰宅に成功します。
その不思議な女性は、車いすに乗った少年と一緒にいました。
不思議な女性は「羽原円華」よね。
「車いすの少年は誰?」ここはそれだけです。
2
刑事の脇坂拓郎は月沢陸真に会いに行きます。会いに行く様子は、隠しカメラで上司の茂上も見ていました。
刑事の脇坂が、わざわざ陸真が通う中学校まで会いに来た理由は、陸真の父親の月沢克司が遺体で見つかったからです。月沢克司の遺体は多摩川で見つかり、死後四日から六日が経過していました。
陸真の母親はすでに亡くなっており、唯一の家族である陸真が、行方不明届を出していたので、脇坂は詳しい話を聞きに来ました。
脇坂は陸真からいろいろな話を聞き、最後に7月4日の陸真のアリバイを確認して帰っていきます。
3
父親を亡くした陸真を気づかい、友人の宮前純也が「今夜、うちにカレーを食べに来い」と言ってくれます。
少し遠慮がちな陸真に、純也はあの手この手の口説き文句を並べて家に連れていくことに成功しました。陸真が純也の家に到着すると、父親と母親がねぎらいの言葉をくれます。
夕食の準備ができるまで、陸真は純也に克司の仕事のことを話しました。
克司は警備会社に勤める前は「見当たり捜査員」という刑事だったこと。「見当たり捜査員」は指名手配されている犯人を見つけ出すことが仕事で、何百という指名手配犯の顔を覚えて道端に立ち、見つけたら逮捕するのだと説明しました。
この日の宮前家の夕食はカレーではなく、陸真の好物の唐揚げやトンカツ、ポテトサラダやエビシューマイが並んでいました。宮前家のやさしさに陸真は胸が熱くなりました。
自宅のマンションに帰った陸真は克司のファイルを整理します。
整理したファイルの中には検査詳細情報という書類があり、患者「永江照菜」(7歳、女性)という名前と、依頼医「羽原全太郎」という名前がありました。
全太郎キター! みたいな感じでした(笑)
というか、唐揚げ&トンカツが出てきたら泣きますよね。
なかなか一緒に出会うことがない、夢のごちそうコンビだと思います。
いやだって、唐揚げを揚げたあとにトンカツを揚げないし、逆もしかりでしょ?(笑)
4
特捜本部が解説されてから三日たちました。
係長の高倉は「月沢克司と関係があったかもしれない女性を調べてくれ」と脇坂に指示しました。また、科警支援局(警察庁科学警察支援局)の伊庭のDNA捜査を、茂上のチームが手伝うことになります。
月沢克司の携帯電話の利用履歴に「永江多貴子」という名前がありました。
脇坂が携帯電話の履歴を陸真に見せると、陸真も「永江」という名字の人物を脇坂に聞きたいと思っていたところだと言います。聞きたかった理由は、克司が持っていた「検査詳細情報」の中に「永江照菜」という人物の名前があったからでした。
陸真は「克司が行方不明になるまえに、見当たり捜査員時代のノートを見ていたかもしれない」と脇坂に話します。
「そのノートを貸してほしい」と言った脇坂に、陸真は「汚したり、破ったりしないでください」と言い、父の形見のノートを貸しました。
克司のノートに「新島史郎」という強盗殺人犯が出てきます。
「すでに逮捕されているから関係ないのかな?」とか思いつつも、「何かの伏線かな?」なんて思えるのも、東野圭吾さんの小説の楽しみの一つだと思い、得した気分になりました。
簡単なあらすじ 5から8
5
陸真は通帳記入をしに銀行へ行きます。純也も付き合ってくれました。
記入後に二人でカツカレーを食べて、デザートのイチゴのかき氷を食べながら通帳を開くと、200万円ほど残高が残っていることが確認できました。
入金や出金がある中で、「ヒロタナオキ」という人物から100万円もの大金が振り込まれていて、二日後に「ナガエタキコ」という人物の口座に移されていたことを二人は知ります。
その他にも「タナカリョウスケ」という人物からも50万円振り込まれて、同じように「ナガエタキコ」の口座に移されていて陸真は「何じゃこれ⁉」と驚きました。
陸真と純也はこの入出金が気になり、永江多貴子に話を聞くため、開明大学病院へ行くことにします。
開明大学病院では「永江多貴子」の情報は得られませんでした。しかし、病院のエントランスで図書館で会った車いすの少年を見かけた二人は「数理学研究所」へたどり着きます。
数理学研究所のインフォメーションで「永江多貴子」についてたずねると、しばらくして二人の前に羽原円華が現れました。
「永江母娘について教えてほしい」と言った陸真に、羽原円華は「永江照菜ちゃんは、あなたの妹よ」と言います。
ラプラスの魔女キター!
やっとキター!
と、ちょっと興奮しました。
というか、やっぱり照菜ちゃんは妹かいっ!! みたいな。
6
克司には特別な女性がいて、その女性との間に子供までいたことを知った陸真はハートブレイク&メダパニの状態異常です。
でも、純也の「いつかは合わないとダメなんでしょーよ。とっとと会っちまおうぜ!」という助言を受け入れ、陸真は永江母娘とすぐに会うことにしました。陸真と純也、円華と永江母娘の5人で話すことになります。
克司と多貴子の出会いは陸真の母親の末期がんのセミナーで、照菜は生まれつき特殊な才能を持ったギフテッドだということを陸真は聞きかされます。ギフテッドは特殊能力と交換に障害者が多く、数理学研究所ではエクスチェッドと呼ばれていることも知りました。
照菜が持っている能力は一度見たものを忘れない能力で、照菜は能力と交換に声が出せず、手足も満足に動かすことができませんでした。照菜の症状を少しでも良くするためには手術が必要で、克司は照菜の手術代として多貴子にお金を振り込んだようでした。
多貴子いわく、克司は「競馬で勝った」と言ってお金を振り込んだようですが、これは嘘で「ヒロタナオキ」と「タナカリョウスケ」から克司の口座に振り込まれたお金を多貴子の口座に移しただけだと、陸真は多貴子に話します。
多貴子は二人の名前を聞いたことがないと言いましたが、照菜が前日に脇坂が持ってきた克司のノートに二人の名前があったと言いました。円華は脇坂を呼ぶことを陸真におすすめし、脇坂が数理学研究所にやってきます。
脇坂の頼みで通帳のコピーを取る代わりに、円華は克司の遺体が見つかった正確な時刻と場所を聞きました。円華、陸真と純也の3人は克司がどこで殺されたのかを突き止めようとします。
ラプラスの魔女の本領発揮に期待!
ワクワクしてきました。
7
脇坂が克司の働いていた警備会社を訪ねます。
警備会社を訪ねる理由は、克司の同僚だった瀬戸に会い、証拠になりそうな映像を手に入れるためでした。
脇坂が考えた証拠になる映像とは、警察官ではない克司が潜入監視中に指名手配犯を見つけたとすれば、尾行するしか相手にたどり着く方法はないはず。
もし尾行したとすれば、仕事を抜ける必要があるから、克司が潜入監視中に持ち場を離れた日の映像を探せば証拠になるはず、という考えでした。
調べると、克司は6月27日のモーターショー最終日の17時20分に早退していました。脇坂は、6月27日にモーターショーで撮影されたすべての映像を借ります。
8
円華、陸真と純也は自転車に乗り、克司が川に落とされた場所の捜索をします。
三人は、というか、円華はラプラスチートを使って多摩川を上流に捜索していきました。
二子玉川のあたりまで来て「克司が殺害された場所はこの辺り200メートル」と円華が言いました。
範囲内の橋の下を3人で調べてみると、克司がノートを見るときに使っていた「虫眼鏡」を発見します。
円華さんが登場されましたけど、展開のスピードやらラプラスチートがちょいと抑え気味な気がします。
簡単なあらすじ 9から12
9
円華たちに克司の遺留品を先に見つけられて、警察はメンツ丸潰れでした。
脇坂と茂上は捜査の進展を願い、警備会社から借りてきた映像を見てもらうため、克司の元同僚の小倉警部補に来てもらいます。小倉警部補に6月27日のモーターショーの映像を見てもらいますが、新たな発見はありませんでした。
しかし、克司のノートを小倉警部補に見てもらうと新たな発見がありました。
克司のノートに写真があった「T町一家三人強盗殺人事件」の犯人である新島史郎は指名手配されておらず、逃走中にフェリーから海に飛び込み行方不明となり、1年後に被疑者死亡で不起訴になっていました。
しかも、克司のノートにあった新島史郎の顔写真は、せいぜい40歳くらいでしたが、新島史郎が死んだのは50歳です。克司のノートの写真は新島史郎がフェリーからダイブするもっと前の写真でした。
なぜ、克司はそんな写真を持っていたのかが謎となりました。
10
円華、陸真と純也は陸真のマンションにいました。
マンションに来た理由は、多摩川で虫眼鏡を見つけたあと「マンションに手がかりがあるかも」と円華が言ったからです。
三人は克司の持ち物を調べます。克司が以前使っていたスマートフォンから動画が見つかり、その動画は15年以上前の新島史郎を撮影したものでした。
ここで、のちのちキーアイテムとなる「闘」の赤Tシャツが出てきます。
闘Tは、陸真から円華のところへ行き、洗濯後に円華から陸真へカムバック。
その後、リマのバックパックから闘Tを出した円華が伊庭にプレゼントし、最終的に純也の手に渡ります。
大したことじゃないんですけど、気になる方は本編で、ぜひ(笑)
11
脇坂は高倉係長から新島史郎のことを捜査会議で話すな、と言われます。
納得がいかない脇坂は茂上の静止を振り切る形で高倉に食ってかかりますが、うまく言いくるめられました。
脇坂は茂上から簡単な操作を任され、「余った時間は好きに使っていい」と言われました。
茂上に「T町一家三人強盗殺人事件」に詳しい「福永」という人物を脇坂は紹介してもらいます。
12
チーム円華の三人は、克司が持っていたカジノのチップマーカーの手掛かりを探すため、タケオに会いに行きました。
タケオは7年前まで円華のボディーガードをしていた人物で元警察官でした。ですから、裏の世界の情報通です。
円華に狙われたら、というか、ねだられたら無事では済みません。タケオは超イヤイヤでかなり渋々でしたが、チップマーカーのことを調べることになりました。
タケオさん、久しぶりでした。
というか、タケオさんの存在を忘れていました。
「あぁ、そういえばそんな人いたなぁ……」という感じです(笑)
タケオトオルさん、申し訳ございません。
簡単なあらすじ 13から16
13
脇坂は福永と会い「T町一家三人強盗殺人事件」の詳しい内容を聞きます。
「T町一家三人強盗殺人事件」の被害者の一人に山森達彦という人物がいました。山森達彦は一般企業の役員でしたが別の顔がありました。別の顔とは「ジャンケット」です。
ジャンケットとはカジノの客引きのことで、自分の人脈を使って客を選び、闇カジノへ連れていく人のことです。ジャンケットは客が闇カジノで落とした何割かを報酬として受け取ります。
山森達彦が反社会勢力と関りがあったことがわかったのは事件から3年以上が経過してからで、再捜査が行われましたが手掛かりはありませんでした。ところが事件から10年以上経過してから匿名の情報提供があり、警察は捜査を進めて新島史郎を逮捕しようとしますが、海にダイブされたという黒歴史で事件は幕を下ろします。
脇坂は福永に克司が持っていた新島史郎の写真を見せましたが、当時、捜査員に配られた写真とは違うと言いました。この会話の中で「見当たり捜査員」というワードを聞いた福永が、新島史郎を張り込んでいたときに、張り込み現場に来た月沢克司のことを思い出しました。
14
タケオが昔の知り合いに連絡を取りますが、今も闇カジノのことがわかる人物は石黒という人物だけでした。
チーム円華の面々は、さっそく石黒に会いに行こうとしますが、純也だけ「お前はどう見ても小学生」という外見なので、石黒がいる店には不釣り合いという理由で帰宅させられます。
円華、陸真とタケオの三人は石黒が経営する六本木のプールバーへ行きます。石黒に克司が持っていたチップマーカーを見せましたが、石黒は「厄介ごとには首を突っ込まない。帰ってくれ」と言いました。
そこで円華は、石黒にビリヤード勝負を持ちかけます。円華は「わたしが勝ったらチップマーカーのことを教えてくれ」と言いました。もちろん得意のラプラスチートで円華が勝ち、石黒はチップマーカーのことを教えてくれます。
チップマーカーは赤坂にあったカジノのものだけど、10年ほど前に移転して移転先はわからないこと。月沢克司はカジノの顧客リストに名前がないのでカジノには出入りしていないこと、などを石黒は教えてくれました。
また、「銀座の『ブルースター』」というバーにジャンケットがいることを教えてくれます。石黒の店を出たあと「ブルースター」のことを調べてみると、「ブルースター」は老舗のダイニングバーでした。
石黒とのビリヤード対決で、円華さんのラプラスチートをもう少し見たかった気がします。
15
脇坂と茂上は定食屋で夕食をとりながら、「T町一家三人強盗殺人事件」と月沢克司がつながったのは見逃せないという話しをします。
脇坂は福永に紹介してもらった「T町一家三人強盗殺人事件」に詳しいフリーランスの記者に会うことを茂上に伝えました。
茂上は小倉警部補から連絡を受けていて「T町一家三人強盗殺人事件」のように匿名のタレコミが決め手となって解決している事件が多数あることを知ります。
二人は匿名のタレコミは警視庁からで、上層部の人間は警視庁の自作自演を知っていたのではないか? と考えますが、「でも、そんなことは絶対に言えないよね」とも考えました。なぜなら、警視庁が一般人のDNAをどのように入手しているのかをはっきりさせないといけないからです。
小倉警部補は以前から警視庁が匿名のタレコミ機関だと気づいていて、自分でほじくるのが嫌だから、脇坂にほじくらせようとしているのかも? と茂上は考えました。
16
「六本木のプールバーと銀座のバーを一緒にするな!」という円華先生の教えにより、「ブルースター」へ乗り込む前に陸真はリマに変身することになります。
陸真はカラオケ店で円華に化粧をしてもらい、円華が買ってきた服、靴やウィッグで女性に変身し、円華とは高級ホステスの先輩と後輩で、タケオは金持ちで高級クラブの常連という設定で「ブルースター」へ乗り込むことになりました。
陸真……じゃなくてリマは、スカートの下から入ってくる空気の感触がスカスカして落ち着かないみたいです。
簡単なあらすじ 17から20
17
円華、タケオトオルとリマは「ブルースター」のオーナーのマダム赤木と会います。
マダム赤木は月沢克司のことを「知らない」と言いましたが、円華は「知っている」と確信しました。
「ブルースター」を退店したチーム円華の3人は男たちに拉致され、カジノの管理室に連れてこられます。管理室には液晶モニターが並んでおり、小柄な男がいました。
管理室で小柄な男と話しているとマダム赤木が入室してきて「月沢克司が探していた人物の名前は知らない」と言います。円華は液晶モニターに表示されているルーレットの当たりナンバーを次々と言い当ててカジノのディーラーになる約束を取り付けました。
円華はカジノのディーラーになり、月沢克司が調べようとしていた人物を自分たちで探すつもりです。
18
脇坂はフリーライターの「津野知子」と会い、「T町一家三人強盗殺人事件」のことを聞きます。
知子は学生時代に「T町一家三人強盗殺人事件」の被害者宅で家庭教師をしていて、広告代理店に就職するまで娘の家庭教師を続けていたと話しました。
智子は山森夫人とも良好な関係で、夫人は智子に「結婚する前に付き合っていた男性からもらったルビーの指輪と真珠のネックレスをもらってくれないか」と言われたことがある、と脇坂に話しました。
このルビーの指輪と真珠のネックレスは新島史郎の自宅から発見されて重要な証拠となったものですが、このルビーの指輪と真珠のネックレスは簡単に見つけられないところに隠してあり、「新島史郎の自宅から出てくるのはおかしい」と智子は脇坂に言いました。
智子は、山森夫人の母親からドレッサーの二重底に隠してあったルビーの指輪と真珠のネックレスの存在を聞いた警察関係者が、新島史郎の自宅に指輪とネックレスを置いたのではないか? と考えていると脇坂に話します。
19
昨夜、女装で大冒険をした陸真が自宅で爆睡していると純也が来ます。
純也に昨晩のことを話しながら化粧を落としていると、脇坂から「今からそっちに行ってもいいか?」と連絡が来たので、陸真は脇坂を自宅マンションに迎え入れました。
脇坂に「その後、何か変わったことはない?」と、陸真は聞かれたので、克司の古いスマートフォンに残されていた新島史郎の動画を見せます。
脇坂も「この人物は新島史郎に見える」と言い、証拠として克司の古いスマートフォンを持って帰りました。
20
脇坂が陸真の自宅マンションを訪ねたとき、陸真が「ブルースター」から記念に持ってきていた「コースター」を脇坂に見られていました。
脇坂は「ブルースター」のことをフリーライターの知子から聞いていたので、陸真の家にブルースターのコースターがあるのは「いくらなんでもタイミング良すぎじゃね?」と思いました。脇坂は、陸真と純也は何かを隠していて、その先で糸を引いているのは羽原円華だと考えます。
純也を拉致った脇坂は喫茶店で純也を激詰めし、陸真が女装して大冒険したことや円華がルーレットの数字をバンバン当てまくったことなどを知りました。
脇坂は、今の状況で上司の茂上に報告するのは「なんか違う……よね」と考え、円華と陸真の闇カジノ潜入大作戦を見守ることにします。
円華さんのディーラーに期待大。
脇坂さんのナイス判断で物語がおもしろくなってきました。
簡単なあらすじ 21から24
21
闇カジノ潜入大作戦のため、陸真はムーンプリズムパワーメイクアップの掛け声とともにリマに変身しようとしますが、やったことがない化粧に失敗しまくります。
でも、タダでは転びません。何度も、変身 → 失敗 → 変身を繰り返し、化粧を落とすのは上手になりました(笑)
陸真が悪戦苦闘していると円華が迎えに来てくれたついでに、ちゃちゃっと陸真をリマに変身させてくれます。円華と、整ったというか、仕上がった陸真あらため、リマはブルースターへ向かい、そこからスーツの男に連れられて闇カジノに入りました。
闇カジノへ入ると、ブルースターでフロア・マネージャーをしていた櫻井がいました。櫻井は闇カジノの現場責任者です。
櫻井は円華のディーラーとしての腕前というか、狙った数字にボールを入れられる技術に驚きました。円華の仕事は櫻井が指示した数字にボールを入れることで、陸真のミッションは櫻井には内緒でカメラ付きの眼鏡で闇カジノに来た客の顔を撮影することです。
円華は確立を武器に闇カジノに戦いを挑む猛者たちをラプラスチートでけちょんけちょんにします。櫻井は円華と陸真のことを大絶賛しますが、陸真のカメラ付き眼鏡のことがバレていてカメラを櫻井にとられてしまいました。
しかし、円華は別の隠しカメラで客の顔を撮影しており、二人は数時間後に闇カジノの客と克司のノートの手配犯の顔写真を見比べることにしました。
22
昨夜、円華と陸真の闇カジノ潜入大作戦を脇坂はこっそりと見守っていました。
次の日の捜査会議で、克司が殺害された現場付近でゴミ袋を持って歩いていたことがわかります。
捜査会議のあと、脇坂はD資料の聞き込みをするため、多摩川でタバコをバカスカ吸っていた岩本という男性に会いに行きます。脇坂は、岩本から多摩川でゴミ袋をあさる男の話を聞きました。
脇坂は、その男がゴミ袋からチップマーカーを取り出したことを知ります。
23
数理学研究所でチーム円華と永江母娘の5人は、闇カジノで撮影した動画と克司のノートの指名手配犯の写真を見比べて同一人物がいないか確認します。でも、同一人物はいませんでした。
みんなが落胆しているときに、「新島史郎の顔写真を照菜に見せてみたら」と純也が提案します。この提案がビンゴ! 新島史郎の顔写真はハズレでしたが、克司の古いスマートフォンの動画を照菜に見せると、動画にうつっている人物は赤木ダリアだと照菜が断定し、みんなビックリという結末でした。
その後、「とってつけたようなあのタイミングで新島史郎の顔写真を照菜に見せようとか提案するのはおかしいだろうがっ!」と、円華に激詰めされた純也は脇坂と裏でつながっていることを白状しました。
24
裏で糸を引いていたことが円華にバレて、脇坂は数理学研究所に呼び出しをくらいます。
脇坂は、純也を使って裏でこそこそしていたことを円華にチクチクと責められます。さらに、「闇カジノを摘発した流れで赤木ダリアを徹底的に調べる」と言う脇坂に、「なんでおのれが闇カジノの場所を知ってんの?」「尾行しているのがバレたら、わたしと陸真がヤバかっただろうが!」と円華に激詰めされました。
「国民のことを思うのなら、ギャンブルなんぞすべて禁止にせんかいっ!」「摘発なんぞする前にリークしてやるわ。このくそポリスがっ!」というような勢いの円華に気おされた脇坂は、「T町一家三人強盗殺人事件」と今回に事件のつながりを話すことになりました。
単行本の340ページに、ギャンブルについての円華さんのありがたいお言葉があります。
ゼロサムゲームや、マイナスサムゲームで損している人は、ぜひ。
簡単なあらすじ 25から28
25
円華がタケオに依頼し、石黒から赤木ダリアの本名と住所を聞いてきます。その情報によると、赤木ダリアは「赤木貞昭」という名前で、住所は神奈川県の藤沢になっていました。
赤木貞昭の今の居所を突き止めるのが先決だと判断した脇坂は一人で闇カジノへ行こうとしますが、そんなおもしろそうなことを円華大先生が許すはずがありません。なんだかんだと脇坂を言いくるめ、というか、言い負かして、円華&脇坂は闇カジノへ行くことになります。
また、ここからは危険だと円華&脇坂が判断し、純也と陸真がお役御免となります。
26
円華&脇坂は闇カジノから出てきた赤木貞昭を尾行します。二人は克司が殺害された多摩川の近くの一軒家に赤木貞昭が入っていくのを確認しました。
「表札を確認してくる」という脇坂に「わたしも行く」と円華が言いました。二人で並んで一軒家の近くに来たとき、円華が一軒家の異変に気付きます。
赤木貞昭は帰宅したはずなのに一軒家の窓からは明かりがもれておらず、一軒家から灯油のにおいがしました。インターホンを押すと男の声で「どちらさま?」と反応があり、玄関のドアから顔をのぞかせたのは、警視庁科学警察支援局の伊庭でした。
27
円華&脇坂が赤木貞昭の家に入ると、伊庭は赤木貞昭を焼き殺そうとしていたところで、伊庭は二人に拳銃を向けてきます。
伊庭の話では、克司のノートの新島史郎の顔写真はコンピュータが作ったCGでした。ゲノム・モンタージュと呼ばれる、DNA解析による復顔術で、顔が映っている動画や画像からAIが身元を割り出すというチートシステムです。
克司のノートにあった新島史郎の顔写真は、コンピュータが作った顔だったことがここでわかります。
克司が「この顔写真からは人生が感じられない」と話していた理由がわかりました。
伊庭が中心となって警察庁科警支援局はゲノム・モンタージュの実験をすることになります。大阪、名古屋や福岡で迷宮入りしていた事件にゲノム・モンタージュを使い、事件を解決しまくります。
ゲノム・モンタージュで数件の事件を解決した警察庁科警支援局は「よっしゃー!」と満を持して「T町一家三人強盗殺人事件」にゲノム・モンタージュをぶち込みますが、新島史郎は犯人ではありませんでした。
「T町一家三人強盗殺人事件」の捜査中に「新島史郎は犯人じゃない」と月沢克司は伊庭に話していて、克司はずっと「T町一家三人強盗殺人事件」のことを忘れずに捜査していました。
事件が忘れられたころ、克司は「『T町一家三人強盗殺人事件』の犯人の赤木貞昭を見つけた」と伊庭に話し、「なんとかしろよ」と言います。なんとかされては困る伊庭は、克司を殺し、今まさに赤木貞昭を殺そうとしているところでした。
伊庭は「殺されたくなかったら赤木貞昭を殺すのを手伝え」と脇坂に言いました。伊庭は円華に拳銃を突きつけていて言うとおりにするしかないと諦めかけたとき、インターホンのチャイムが鳴ります。チャイムを鳴らしていたのはリマに変身した陸真でした。
陸真のチャイム騒動で、円華の背中に突きつけられていた銃口が外れ、その隙を見て脇坂は伊庭にスライディングタックルを決めるも不発。逆に拳銃で撃たれて、その場で倒れ込むポンコツぶりを披露します。
伊庭は、逃げる円華と陸真を追いかける前に室内に火をつけました。脇坂さんピンチ。
28
陸真は数理学研究所を出るときに、円華の居場所がわかるアプリをダウンロードするように円華に言われ、自宅のマンションで純也と一緒に円華の動きを監視していました。
円華と脇坂が多摩川の赤木貞昭の家に行く途中で、陸真に円華から着信がありますが、円華からの応答はなく、陸真と純也は「これから何か起こるかもしれない」と感じ、赤木貞昭の家に行くことにします。
赤木貞昭の家に到着し、通話を聞いていると「克司を殺した」という会話が聞こえてきて、円華&脇坂のピンチな状況が想像できました。
いいアイデアが思い浮かばない陸真はインターホンを鳴らしまくり騒ぎまくっていると、円華が中から飛び出してきて、何がなにやらの陸真は円華を後ろに乗せて自転車を走らせることになります。
大きな道路に出たとき、バイクの音が近づいてきました。そのバイクには伊庭が乗っています。
円華は陸真のバックパックから布をとって投げました。するとその布が意志を持ったように伊庭の視界を遮り、伊庭の乗ったバイクはクラッシュします。
円華の投げた布は、以前、円華に貸したことがあった赤い色のTシャツで、胸には「闘」という白抜きも文字がありました。
ラプラスチートで赤い闘Tを伊庭の顔面にヒットさせたのでしょうけど、なんかちょっとショボい感じがしました。
簡単なあらすじ 29と30
29
脇坂は病院で目が覚めました。
撃たれて動けない脇坂を火がついた赤木貞昭の家から助け出してくれたのは純也でした。赤木貞昭も二人の警察官に助け出されます。伊庭はヘルメットなしでバイクで転倒したため、意識不明でした。
脇坂は三日間、入院したあと何度も事情聴取を受け、最終的に「捜査資料分析室」に飛ばされます。「捜査資料分析室」といっても一様は本庁で、しかも「定時出社の定時退社だ」と脇坂は高倉に言われました。
ゲノム・モンタージュや国民のDNA型データベースの作成は公表されるのか? という脇坂の問いに、高倉は「ゲノム・モンタージュもDNAのデータベースもメリットがあるから、国民はそのうち慣れる」と言いました。
そのメリットとは、家族が事件に巻き込まれて唯一の手掛かりがDNAだった場合、家族はDNAのデータベースで犯人を突き止めることができます。また、DNAのデータベースに情報がなかったら、ゲノム・モンタージュを作成して顔認証でIDナンバーから犯人を捜すように依頼することもできるということです。
さらに、家族が重い病気にかかり、治療方法が移植しか方法がなかったとき、DNAのデータベースで適合者を探すこともできます。そんなメリットもある技術であることを、高倉は脇坂に話しました。
高倉と話したあと、脇坂は茂上と話します。赤木貞昭と山森達彦は特別な関係で、関係がこじれて赤木は山森を殺害したと証言しました。また、赤木貞昭は月沢克司の尾行には一切気づいておらず、「T町一家三人強盗殺人事件」で追及されると思っていなかったとも証言しました。
そして、月沢克司の口座への指名手配犯からの振り込みは、脅されて振り込んだわけではなく、保釈金のようなものでした。克司に見つかった指名手配犯が「自分で出頭するから通報しないで」と克司に頼み、克司は「じゃあ、保釈金を出せ。24時間以内に出頭したら返すから」と言いましたが、出頭しなかったので頂戴し、照菜の手術代にあてたのでした。
30
陸真は児童養護施設に入ることになり、純也と多貴子が引っ越しの準備を手伝ってくれます。
照菜も陸真の自宅マンションに来たがっていましたが、羽原円華とのお別れ会があるので照菜はマンションに来ることができませんでした。
円華は研究のためにアメリカに行くらしく、いつ帰ってくるかわからないとのことでした。
あの事件以降、陸真は円華とは会っていませんでしたが、円華の言った言葉で陸真は大切なことに気づくことができました。
それは、困難に遭遇したときに頼るのは、AIや国家じゃなくて自分の頭だということ。自分で考え、道を切り開いていかなければいけない、ということです。
陸真は「自分にとって陸真の代わりはいない」と言ってくれた純也に、円華が着用し、陸真と円華の命を伊庭から救った「闘」の文字入りの赤いTシャツをプレゼントしました。
以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。