わたしは栗原さんが大好きです。
今回の「変な家2|11の間取り図」では栗原さんがあまり活躍しないので残念でした。
次回作では栗原さんがCIAに忍び込んで宙吊りになったり、ただの町の走り屋だった栗原さんがいつのまにか世界を救うようなワイルドな大活躍に期待したいです。
お越しいただきありがとうございます。
お時間ございましたら、お付き合いください。
あらすじ
「変な家2」のざっくりなあらすじですが、ハウスメーカーが宗教団体を作って信者の弱いところをつき、信者の家の増改築を自社で施工して金儲けをします。
そのハウスメーカーの経営者が宗教団体のシンボルというか、生き神さまにした人物が片腕と片脚を失った女性でした。
最終的にその女性を殺害したのは誰だったの? という謎が残るイヤンな形で物語は終わります……みたいな感じです。
最初に「筆者が11冊の資料を持って栗原さんのアパートへ向かっていた」なんて書いてあったので、わたしの大好きな栗原さんがしょっぱなから出て来て大活躍かと思っていたんですけど、最後まで出てこなくてガッカリしました。
また、栗原さんが「11冊の資料」を読んでから答え合わせが始まるのですが、栗原さんは「変な家」ほど輝きません。どちらかというと、筆者の方がきらめいていました。
栗原さん推しのわたくしとしては、今回はちょっと残念だったかな、みたいな感じです。
資料1 行先のない廊下 P8~
2022年6月10日と17日
根岸弥生さんへの取材と、調査の記録
根岸弥生の実家に???な廊下があった話です。
弥生の実家は平屋の一軒家でした。
その一軒家には行き先がない廊下がありました。
実はその廊下の先には部屋があったのではないか? と弥生は推理します。
しかし、その推理はハズレ。当初の図面では廊下の先には玄関がありました。
でも、玄関先で施工業者のトラックが事故を起こして子供が亡くなってしまい、縁起が悪いので玄関の位置を変えたというオチでした。
その後、家が完成して5年後に弥生の母親が施工業者に改築のお願いをします。
依頼した改築内容は、根岸弥生の部屋を取り壊すというものでした。
なぜ母親はそんな依頼をしたんだ? という謎を残して「資料1」は終わります。
資料2 闇をはぐくむ家 P47~
2020年11月6日
飯村達之さんへの取材記録
筆者は特殊清掃員をしている飯村達之から話を聞きます。
特殊清掃員の仕事は、孤独死や事故死があった部屋を掃除するというものです。
飯村達之が話した内容は、津原一家の事件でした。
津原一家の事件は、16歳の少年が母親、祖母と弟の3人を殺害した事件です。
16歳の少年が家族を殺害した理由が「津原家の間取りが悪かったから」という無茶苦茶な理由でちょっと笑いました。
この殺人屋敷を建設したのが「ヒクラハウス」で、物語のキーパーソンである会長の「緋倉正彦」と社長の「緋倉明永」の名前がここで出てきます。って、明永は言うほどキーパーソンではありませんね。
資料3 林の中の水車小屋 P74~
古い書物からの抜粋
「明眸逗留日記」という本があり、そこに収録されている「飯伊地方の思い出」という章が紹介される話です。
この章の作者は水無宇季という21歳の女性です。
宇季が避暑をするため、叔父の家に滞在したときに森の中で水車小屋を見つけます。
水車小屋の隣には祠があり、祠がある方向の水車小屋の壁には穴というか、人が入れる「へこみ」がありました。
また、水車を動かすと水車小屋のカラクリが作動して新たな部屋が現れます。
現れた部屋の中で、メスのシラサギが死んでいました。
水車小屋にあった穴の謎とメスのシラサギの死の謎を残して「資料3」は終わります。
資料4 ネズミ捕りの家 P92~
2022年3月13日
早坂詩織さんへの取材記録
33歳会社経営者、早坂詩織(ギロッポンの成功者)の中学生のときの話です。
詩織は中学生のころ、ヒクラハウスの社長令嬢の「ミツコちゃん」の家にお泊りに出かけました。
お泊りをした翌日の朝、ミツコと暮らしていた「お祖母さん」が階段から転落して亡くなります。
ミツコは父親の依頼で「お祖母さん」を殺害したのではないか?
そのアリバイのためにわたしは利用されたのではないか?
そんなふうに、詩織は考えました。
ブルジョワミツコはわたしの家が貧乏で「あんな奴、使い捨ててもいいんじゃね?」と思っていたのかもしれない。
それが悔しくて、ミツコを見返したくて、詩織は今日も頑張ってお金を稼いでいるのだ……っていう「資料4」でした。
ちょいとネタバレ。
ミツコちゃんは、あの日に詩織ちゃんをお泊りに誘ったことを後悔していますよ。
今、ミツコちゃんはヒクラハウスと縁を切って、介護職員として頑張っていますよ。
なんて、筆者は詩織に伝えてやってほしい。
資料5 そこにあった事故物件 P118~
2022年8月
平内健司さんへの取材と、調査の記録
平内健司が購入した長野県の家が事故物件だった話です。
事故物件を表示するサイトには、1938年の8月23日に女性の遺体があったとされていました。
80年以上前のローカルな話なのでWeb上にナイスな情報はなく、筆者は図書館で調べることになります。
アナログな調査をしてみると、女性の遺体発見から2か月後に近隣で名家の当主が自殺した記事を見つけました。
その後、名家の当主とお絹という女中が不倫をしていて、怒った当主の妻がお絹を殺そうとしたことがわかります。
さらに、水無宇季が「明眸逗留日記」に書いたメスのシラサギの話が1938年の8月23日の話だとわかりました。
女性の遺体と表現するとダイレクト過ぎるので、メスのシラサギの死体とは、宇季が歯に衣を着せて表現したお絹のことだよね? で、一件落着しました。
そして、水車小屋を増築工事した物件が健司くんの今のお家じゃね? という推理で「資料5」は終わります。
資料6 再生の館 P151~
1994年8月
某月刊誌掲載の記事
カルト教団「再生のつどい」の潜入レポートの話です。
かつて、教団が使用していた「再生の館」という巨大な建造物が長野県にありました。
教団の生き神、御堂陽華璃には左手と右脚がありませんでした。
教団へ潜入したライターが描いた「再生の館」のイラストを並べると、「再生の館」は御堂陽華璃の体をかたどった建物だったことがわかります。
さらに、1999年に「再生のつどい」は解散しており、翌年に「再生の館」が取り壊されていることもわかりました。
資料7 おじさんの家 P172~
少年の日記からの抜粋
箇条書きのような三橋成貴(9)くんの日記が続いて、最後に成貴くんが亡くなったことがわかります。
日記を読むと、成貴くんが親切なおじさんの家へ行き、楽しい時間を過ごしたこともわかります。
1994年5月8日に愛知県の一宮市で成貴くんが遺体で発見されました。
死因は栄養失調による複数の合併症です。
また、遺体には全身に打撲の痕があり、成貴くんが虐待されていたこともわかりました。
母親の三橋沙織と交際相手の中村栄二が保護者責任者遺棄致死罪で起訴されました。
成貴くんの死後、亡くなる寸前まで書いていた日記の内容が出版されたこともわかります。
この資料7だけを読むとおじさんはめっちゃいい人なんですけどね。
物語が進むとおじさんの軽薄さがわかり、東海の種馬と呼ばれるほど、おじさんはあっちこっちで悪さをしていたことがわかります。
資料8 部屋をつなぐ糸電話 P186~
2022年10月12日
笠原千恵さんへの取材記録
笠原千恵が小学4年生のとき、父親と糸電話をしていたら隣の家が火事になった話です。
ある夜、父親と糸電話で話をしていたら、父親の様子がいつもと違いました。
父親の言うことが支離滅裂で声も震えていました。
しばらくすると隣の家が火事になります。
隣の家は「松江さん」という家族が住んでいて、30代の夫婦と「ヒロキ」という名前の小学生の息子がいました。
火事の原因は、ヒロキの母親の焼身自殺とされました。
その後、千恵の父親が突然、家を出て行きます。
父親が出て行ったあと、千恵はある疑問を持ちました。
父親は千恵と糸電話で話をしながら、ヒロキの母親を殺していたのではないか? という疑問です。
「資料8」の最後に、千恵の父親が1994年に自殺していたことがわかります。
父親の遺品には三橋成貴の写真がありました。
父親と成貴の関係は? という謎を残して「資料8」は終わりました。
資料9 殺人現場へ向かう足音 P209~
2022年11月12日
松江弘樹さんへの取材記録
笠原千恵の隣人だった松江弘樹に取材をした筆者がドッキリを食らう話です。
弘樹は、母親が焼身自殺をしたのではなく、父親が母親を殺害し放火したと考えていました。
弘樹いわく、夫婦仲は最悪だったので、父の我慢が限界にきたのでは? とのことでした。
最後に弘樹は「火事の真相を突き止めてください」と筆者に言います。この前にドッキリがありますので、本書でぜひ。
「資料9」の最後に筆者の考察があります。
アリバイ工作のために娘と糸電話をしながら人を殺すのは現実的ではない。
また、父親が母親を殺害するのに放火を選んだのは、家を失うし、大事にしていた息子を危険にさらすので、違和感が残る。
真相は別にあるのでは? という、筆者の考察を残し「資料9」は終わります。
資料10 逃げられないアパート P228~
2023年1月25日
西春明美さんへの取材記録
西春明美と一人息子の満が借金返済のため「置棟」にいたときの話です。
ちなみに置棟は「売春施設」です。
置棟はアパートを改造した施設で、さまざまなルールがありました。
ルールの一つに、隣の部屋の子供と自分の子供を入れ替えると外出ができるというものがありました。
このルールは残った子供が人質になるので成り立つ仕組みです。
明美と満が住む隣の部屋には「ヤエコ」という綺麗な人物がいて、ヤエコも11歳の娘と部屋に住んでいました。
明美はヤエコと仲良くなります。
しばらくして、明美はヤエコに左腕がないことに気づきました。
また明美は、ヤエコが幼いころ小屋に捨てられているところを拾われたことも知りました。
ある日、子供を人質にして外出するルールを使ってヤエコと満は町に出ました。
そこで満をかばって車の下敷きになったヤエコは右脚を失います。
その後、ヤエコの部屋に通っていた「ヒクラハウス」の社長にヤエコは引き取られ置棟を出て行きました。
明美への取材が終わり、明美の話のいくつかに違和感を覚えた筆者が、明美は何かを隠しているのでは? と感じて「資料10」は終わります。
資料11 一度だけ現れた部屋 P247~
2022年7月
入間蓮さんへの取材と、調査の記録
5~6歳のときに入間蓮が実家で小さい部屋を見つけた話です。
その後、蓮が家の中をいくら探しても小さい部屋は見つかりませんでした。
蓮は筆者と一緒に実家へ小さい部屋を探しに行きます。
二人はさまざまな謎を解き、小さい部屋を見つけました。
謎の部屋には、木彫りの小さな女性の人形がありました。
天女のように美しい顔立ちの人形には、左腕と右脚がありませんでした。
また、人形の形が家の形に似ていることにも気がつきました。
「両親が怪しげな宗教にハマっていた」と蓮が筆者に話して「資料11」は終わりました。
物語を最後まで読むと、入間蓮の、というか、家を改築したり改築しようとしていた家庭の子供が不幸になる事実がわかります。
血がつながっていなくても幸せそうな親子はゴマンといるでしょうから、何とも言えませんけど。
栗原の推理 P282~P435
栗原さんの推理は資料の数字順に進んでいきません。
本書に書かれている資料順に栗原さんの推理を書いていきます。
資料6「再生の館」の推理
資料の出来事は、「再生の館」を中心として起こっていて、「再生の館を『核』として考えなければならない」と栗原さんは最初に言いました。
「資料6」の再生の館の間取り図で信者が眠っていた寝室は女性の下腹部であり、そこで眠ることは「妊娠」と「出産」のメタファーである。
信者は聖母の下腹部で眠ることによって生まれ変わり、そして再び生まれるから「再生のつどい」という名称だったのだろう。
教団は罪を抱えた人たちを集めて罪を清める方法を教えていた。
その方法が聖母の体を模した再生の館で眠ることだった。
教団は自分の家を再生の館に改築することも信者に進めていた。
資料11「一度だけ現れた部屋」の推理
ヒクラハウスによって、入間蓮の実家は聖母の身体を模した間取りに改築された。
両親の弱みにつけこんだ教団がやらかした改築は、聖母の人形を置くために聖母の心臓の部分に隠し部屋を作るという、普通では考えられない忍者屋敷な改築だった。
ここで教団が信者に売りつけていた数百万から数千万円の商品が何だったのかも推理された。
教団が信者に売りつけていたものは家の改築工事だった。
カルト教団の「再生のつどい」は信者に家の改築を勧め、「ヒクラハウス」は改築工事を請け負っていたという、推理だった。
資料7「おじさんの家」の推理
入間蓮の両親の他にも教団に洗脳されたのが笠原千恵の父親だった。
笠原父も、離婚後に購入した愛知県一宮市の一軒家を息子のために改築した。
息子の名前はナルキだったが、ナルキは亡くなった。
ここは、推理という推理はなかったです。
資料8「部屋をつなぐ糸電話」の推理
教団に怒鳴り込んだ笠原千恵の父親は一宮市の一軒家で自殺した。
笠原千恵の父親、おじさん、再生の館に怒鳴り込んだ男は同一人物だったと、栗原さんは推理しました。
資料9「殺人現場へ向かう足音」の推理
松江弘樹と笠原千恵は、どちらも自分の父親が松江家の母親を殺害したと考えていたが、栗原さんは「どちらの父親も火事に関係していると考えるべきだ」と推理しました。
笠原父は松江母と不倫をしていたが、笠原父は松江母を殺していない。なぜなら、軽薄でビビりの笠原父に殺人は無理。という、ちょっと力任せな推理でした。
では、松江父が殺害したのか? というとそうでもなく、松江父は熱心なカトリック教徒なので殺人はしないと考える方が自然。カトリックでは厳格に殺人を禁じているからだと推理しました。
以上のことから、松江母は自殺したと結論づけました。
さらに、栗原さんは推理しました。
松江母が残した遺書には、笠原父の子供を妊娠したことが書かれていたのでは?
不倫相手の松江母が自分の子供を妊娠していたことを知った笠原父はビビッて逃げ出して、妻が不倫の上、妊娠したことを知った松江父はカトリック教徒としては不名誉なことだと妻の不倫を隠すことにしたのだろう。
その結果、松江父が「子供ごと燃やしてしまおう」と考え、放火したのだろうと推理しました。
「再生のつどい」は不倫によって生まれた子供がいなければ入れない教団だったのだろう。
不倫で生まれた子供を持つ親は誰にも相談できずにいる人が多いはず。
「再生のつどい」はそのような人たちの孤独や罪悪感につけこんで洗脳していたのだと推理しました。
笠原父にはもう一人の不倫相手との間に隠し子がいた。それが三橋成貴だった。
「再生のつどい」に洗脳されていた笠原父は、不倫で生まれた成貴に危害が及ぶのを防ぐために離婚し、成貴のために家を買い改築することを決めたのだろう。
でも、成貴は亡くなってしまい。笠原父は教団に怒鳴り込んだ。
ここでは、さまざまな謎が栗原さんによって解説されました。
というか、笠原父って元気よね。みたいな。
資料1「行先のない廊下」の推理
根岸弥生は母親の不倫によって生まれた子供だった。
母親が弥生に対して過剰に過保護だったのは、事故を起こして弥生の血液型がわかることが怖かったから。
弥生の血液型で、弥生と父親が親子ではないことがバレることが怖かったからだろうと推理しました。
資料10「逃げられないアパート」の推理
ヤエコを置棟から連れ出したのは「ヒクラハウス」の緋倉正彦だった。
ヒクラハウスとヤエコがつながり、ヤエコが「再生のつどい」の生き神さまだったことがわかりました。
また、ヤエコは「わたしは罪の子として生まれ、罪の母に左腕を奪われた」と言っていて、さらにヤエコは小屋に捨てられていたこともわかりました。
資料3「林の中の水車小屋」の推理
水無宇季の「飯伊地方の思い出」を読んだ栗原さんは、水車小屋の近くにあった祠には鬼子母神が祀られていたと推理し、水車小屋にあった「へこみ」は赤ん坊を入れるために作られたのだろうと推理しました。
資料5「そこにあった事故物件」の推理
栗原さんは、お絹が名家の当主の子供を妊娠していたのではないか? と考え、水車小屋は気性が荒い本妻からお絹を守るために名家の当主が建てた産屋だったのだろうと推理しました。
また、本妻にお絹の子供が見つかると子供は殺されてしまうから、水車小屋の「へこみ」は子供を守るためのシェルターだったのだろうと考えました。
「へこみ」の近くに鬼子母神が置かれた理由は、鬼子母神に子供を守ってもらいたいとの願いが込められたのだろうと推理しました。
お絹は無事に出産したものの産後の肥立ちが悪く、死期を悟ったお絹は最後の力で子供を「へこみ」に隠したのだろう。
しかし、お絹が水車を動かしているときに、運悪く子供の手が壁の間に挟まってしまい子供の左腕は圧迫されて切断するしかなかったのでは? と栗原さんは推理しました。
お絹が息絶えたあとに宇季の叔父と叔母が子供を救い出した。その子供が「ヤエコ」だった。
ヤエコは18歳で叔父と叔母のもとを去ったあと21歳のときに結婚するも、夫が多額の借金を残し自殺した。
借金を返すためにヤエコは置棟に連れていかれ、置棟で緋倉正彦と出会い、ヤエコは正彦の妻となった。
ヤエコは正彦の妻となった。
ホントは違うんですけど、栗原さんには気づいてほしかった。
今回の栗原さんは調子が悪かったとしか思えん!
資料2「闇をはぐくむ家」の推理
1980年代、デマのせいでヒクラハウスの信用と株価が落ちました。
緋倉正彦はイメージアップと顧客開拓のため、カルト教団を設立します。
正彦はヤエコの体のことと生い立ちを利用し「再生のつどい」のコンセプトを作りました。
不倫で生まれた子供を持つ家族を、教祖の子宮を模した場所で眠らせることで救う教団が完成します。
その後、教団は解散。
理由はさまざまありましたが、一番の理由はヒクラハウスのライバル会社が業績を落としたことでした。
ライバル会社の業績が落ちた理由は、自社で建設中の家の前で作業中のトラックが子供と接触事故を起こして、その子供が亡くなってしまったことでした。
ここも解説中心で、栗原さんはあまり輝きませんでした。残念……。
資料4「ネズミ捕りの家」の推理
教団が解散したあと、ヤエコは孫のミツコと住んでいました。
ここでは、緋倉正彦とヤエコの子供が緋倉明永で、明永と妻の子供がミツコとされています。
ヤエコが田舎の家に追いやられた理由は、カルト教団の元教祖が身内にいることがバレると、ヒクラハウスにとってイメージダウンにつながるからだと解説されています。
この家でヤエコは階段から落ちて亡くなりましたが、ミツコが隠したのは杖ではなく義足だったと栗原さんは推理しました。
また、栗原さんはこの家の間取り図を見て、ヤエコの左腕が義手だったことも階段から転落した原因の一つだと解説しました。
栗原さんの推理を聞き終えた筆者は帰宅します。
息子
栗原さんの推理に違和感を覚えた筆者は、西春満に取材します。
満から、置棟で売春行為をさせられていたのは、親ではなく子供だったことを聞きました。
嘘
筆者は、ふたたび栗原さんを訪ねました。
筆者から話を聞いた栗原さんは、緋倉正彦とヤエコが結婚したのではなく、正彦はヤエコの娘と結婚したのだろうと推理しました。
正彦は児童買春をしていて、その児童を妻にしたことになります。栗原さんも「正彦はリスキーなことをしたもんだ」と言っています。
「再生のつどい」を作ったのはヤエコの娘だったのでは? という推理も出ました。
理由は、ヤエコの娘は売春行為をさせた母親を恨んでいて、母親に復讐するためにヤエコを教祖にしてさらし者にしたのではないか?
また、正彦には児童買春のことをネタにしていうことをきかせたのではないか? という考えにいたりました。
犯人
最後に筆者は「緋倉美津子」に会いに行きます。
ヤエコを殺したのは誰なのか? を知るためです。
筆者は13歳の子供が親から頼まれたからといって、身内のヤエコを殺害するとは考えられませんでした。
美津子は父にヤエコの義足を隠してくれと頼まれたことや、詩織をお泊りに誘ったのは誰かにそばにいて欲しかったからだと話しました。
さらに美津子は、一度義足を隠したが「大切なおばあちゃんを傷つけることはできない」と思い直し、義足を元に戻したと話しました。
でも、ヤエコは義足をせずに階段から転落して亡くなりました。
美津子は、義足を戻したのにヤエコが亡くなったことを「おばあちゃんはわたしを守ってくれたんだと考えている」と筆者に話しました。
ヤエコの葬儀のあと、美津子はヤエコの部屋で義足を探しましたが義足はなかったと話しました。
ひょっとして? と自分の部屋を探すと、本棚から義足が出てきたと美津子は筆者に言いました。
わたしは義足を戻したつもりだったけど、本当は戻していなかった。
「あれは夢だった」と美津子が言って「変な家2|11の間取り図」は終わります。
さいごに
「変な家2|11の間取り図」は、大好きな栗原さんの輝きが少し薄めで残念でした。
あと、ヤエコの義足の話が宙ぶらりんで終わってしまったので、実は早坂詩織も緋倉正彦から義足を隠すように依頼されていたのでは? とか、無理があることを考えてしまい、ちょっとストレスを感じました。
ただ、あいかわらず「変なシリーズ」は読みやすくてトントーン! と読み進めることができるので、そこはストレスフリーで素晴らしい暇つぶしになりました。
次回作では、栗原さんのさらなる輝きと「最後に考えさせないで」に期待したいです。
以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。