【あらすじ・ネタバレ】「名探偵のままでいて」小西 マサテル(著)

小説

「はじめにお断りしておきますが『お前の方がストーカーだろ!』という意見は受け付けません」

「名探偵のままでいて」小西マサテル(著)を読みました。
生意気にも、個人的に感じたことに☆をつけてみました。

ジャケ借り度  ★★★★★

読み進めやすさ ★★★★☆

推理小説として ★★☆☆☆

「名探偵のままでいて」は、ジャケットが素晴らしいです。
主人公、楓の横顔だと思いますが、思わず手に取ってしまいました。

「わたしは楓が持っている本になりたい」

内容は、章ごとに謎が違うので推理小説としては浅く広くで「1冊通してガッツリ系の謎が好き」な方には物足りないと思います。

ただ、各章で謎が完結すると「これってなんだったっけ?」でページを行ったり来たりしないので、すごいスピードで読み進めることができて楽しかったです。

各章の中身も「小話」「」「おじいちゃんが解決」という流れで進んでいくので、テンポがよくて感情移入度も高く、ストレスまったくなしで最後まで読むことができました。とてもいい気分が今も持続しています。

いまえださく
いまえださく

お越しいただきありがとうございます。

お時間がございましたら、お付き合いください。

 



このミステリーがすごい

大賞受賞作

「名探偵のままでいて」は、2023年度の「第21回『このミステリーがすごい』」の大賞受賞作です。

岡村隆史

「岡村隆史 絶賛」と「名探偵のままでいて」の単行本の帯にデカデカと金色で書いてあります。

表紙は誰?

表紙の女性は「楓」と思われます。

書いたのはイラストレーターの「Re゜」さん。

出版社 文庫本

出版社

出版社は、株式会社 宝島社です。

文庫本

今、2023年10月ですが、文庫本は出ていません。
2023年1月21日に「名探偵のままでいて」の単行本、第1刷が発行されたので、2年後の2025年の春ごろには文庫本が発売されると予想しています。

ラスト どっち? 岩田 四季

楓ちゃんは、どっちにもやらん!

たとえ、おじいちゃんが交際をゆるしても、わたしがゆるさん!

これが「ラスト どっち?」の答えです(笑)

とはいえ、百万歩ゆずっての考えを書くと、「G1 楓杯の勝者は、四季かな?」と考えます。

楓はおじいちゃんが大好きなので、おじいちゃんに似た人物を選ぶと思います。

あと、楓のことを好きな岩田に遠慮して四季が一旦は引きますが、最終的に岩田が楓の隣の席を四季にゆずると考えました。

楓と四季の結婚式、車いすのおじいちゃんの隣で、大泣きをして祝福している岩田の姿が浮かびませんか?

あらすじ 内容 登場人物

第一章 緋色の脳細胞

登場人物

楓(かえで)


主人公。公立小学校の教師。27歳。おじいちゃん大好き。
心の中の声がめちゃくちゃ多い女性。

おじいちゃん


71歳。はっきりとした幻覚(幻視)が見えることが特徴の「レビー正体型認知症」を患っている。
「ぼく」という一人称を使い、碑文谷ひもんやに住んでいる。
長身で鼻が高くて彫が深いイケメン。
元小学校の校長先生。「まどふき先生」と呼ばれるほど、まどをふき倒していた。
その他には、花に水をやったり、トイレを掃除をしたりして、辞めてから15年以上たった今でも、PTA界隈ではレジェンド的な存在。

いまえださく
いまえださく

碑文谷(ひもんや)というワードを生まれて初めて目にしました。

碑文谷って、目黒区にある高級住宅街なんですね。

センスの良いお店が並び、子育てしやすい環境が整っている街のようで、ジェントルマンで子供大好きなおじいちゃんが住むにはピッタリの町だと思いました。

おじいちゃんの自宅に碑文谷を選んだ小西マサテルさんもセンス抜群です。

瀬戸川 猛(せとがわ たけし)


文芸評論家。50歳で亡くなった。
ミステリマニアに評論集が好評。
おじいちゃんの先輩で、おじいちゃんもメンバーだった「ワセダミステリクラブ」の中心人物であった。

あらすじ

楓が買った瀬戸川猛の古本に新聞のスクラップが挟まっていました。

その新聞のスクラップは、なぜ挟まっていたのか? 誰が挟んだのか?

新聞のスクラップが挟まっていた謎をおじいちゃんが解明します。

おじいちゃんが出した謎の答えは、「瀬戸川猛ファンの旦那さんの死後、奥さんが古本屋へ売ったから」でした。

いまえださく
いまえださく

おじいちゃんが出した謎の答えよりも、幻視を見まくりのおじいちゃんが、自力で「ぼくは幻視を見ているんだ」と自覚にいたるまでの解説が理路騒然としていてすごかったです。
26ページ必見です。ぜひ。

いまえださく
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どうでもいい話です。

おじいちゃんが推理を始める前にゴロワーズというタバコを吸い始めます。

「ゴロワーズ」も懐かしかったし、吸うことを「呑む」と聞いたのも久しぶりで、「そういや、うちのじいちゃんも「呑む」って言ってたな」とか思い出してほっこりしました。

さらに、「『ジタン』ってあったよな?」とか、「ゴロワーズもジタンも両切りでキツかったよな?」なんてことを思い出させてくれて、さらにほっこほこです。感謝!

第二章 居酒屋の密室

登場人物

岩田(いわた)


楓の小学校の同期の先生。天然パーマがチャーミング。
まぶしいくらいまっすぐな性格。
料理とスイーツを作るのが好きで「クッキングパパ」を全巻もっている。
酔っぱらうと「楓ちゃん」と言う。

四季(しき)


劇団員。岩田の後輩。岩田いわく、変人。
髪の毛がまっすぐで多いワンレングス。まつ毛が長くて鼻も高い。
初対面の楓に対して、失礼なギリギリの言葉をぶつけまくった。

「はる乃」の女将


元犯罪者で、またの名はボニー。
碑文谷の北側にある割烹居酒屋「はる乃」の経営者。
おじいちゃんとは顔なじみで、勉強を教えてもらっていた。

H


四季の友人。
おじいちゃんも、ちょっとだけ知り合い。

あらすじ

楓やおじいちゃん、岩田や四季に馴染みがある「割烹居酒屋『はる乃』」で殺人事件が起こります。

殺人事件が起こったときに四季がいて、四季の友人が容疑者となりました。

四季の話を録音し、おじいちゃんに聞かせて「はる乃」で起こった密室殺人を解決するという内容です。

いまえださく
いまえださく

この章は、「はる乃」の密室殺人の答え合わせよりも、楓と四季が初めて会ったときの会話がおもしろかったです。

岩田が言うように、四季がかなりの変人なので、変人がどこへ走り出すのか今後に期待したいです。

第三章 プールの人間消失

登場人物

美咲


自分の八重歯がお気に入り。楓の大学時代の同級生。
今は、おじいちゃんが校長先生をしていた学校に勤めている。

マドンナ先生


目鼻立ちハッキリ、スタイル抜群。美咲いわく、昭和の美人。

二代目まどふき先生


40歳そこそこ。おじいちゃんがいた小学校の校長先生。
初代まどふき先生を尊敬し、まどを拭き、花に水をやることを日課にしている。
花が好き過ぎて、校長室を花壇の前に変えた。

ソフトクリーム屋


おじいちゃん担当の理学療法士。バニラ・ビーンズの香りを漂わせるイチロー似の人物。
実家が持ちビル持ちでお金持ちの、3持ち。
持ちビルの一角で両親がソフトクリーム屋を経営しているので、ときどきバニラの香りがする男。

いまえださく
いまえださく

G1 楓杯

岩田&四季に割って入るかも!?

という、ダークホースなソフトクリーム屋さんが登場しました。

どいつもこいつも蹴散らしますが(笑)

あらすじ

楓は、四季が座長を務める「劇団『あおこーなー』」の公演に行きます。

その後、劇団の打ち上げに参加し、四季と岩田が高校時代に野球部でバッテリーを組んでいて、ある野球部員が失明した事件のことを知りました。

次の日、楓は二日酔いの上体で大学時代の同級生たちとのランチ会に出席します。

ランチ会で仲が良かった美咲から学校のプールでマドンナ先生が消えた事件のことを相談されます。

いつものようにマドンナ先生が消えた事件のお土産を持って碑文谷へ行くと、おじいちゃんは理学療法士のイチロー改からリハビリを受けている最中でした。

リハビリが終わったあと、おじいちゃんがいつものようにゴロワーズを吸いながら事件を解決するんですけど、今回はちょっと事件の内容がいつもと違うので必見です。

いまえださく
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今回は、おじいちゃんがゴロワーズを2本吸い、2つの仮説をたてるところがおもしろかったです。

でも、今回のおじいちゃんは若干レッドカード気味なので、賛否両論あるかもしれません。

第四章 33人いる

登場人物

おかっぱさん


ヘルパーさん。ヘルパーの中でもチーフ角の女性。
髪の毛をまっすぐ切りそろえ、ファッションよりも仕事が優先。

ハリー&ロン ハーマイオニー


楓の元生徒。
子どもが大好きなおじいちゃんのために楓が呼んだ燃料3人組。

あらすじ

おじいちゃんが住む碑文谷の家の前で下水道工事が始まります。

家の前を幼稚園児が通らなくなって、子供の声が聞けなくなったおじいちゃんは元気が亡くなり調子を崩しました。

そんなおじいちゃんのために楓は学校で起こったちょっとしたミステリーの話をします。

話の内容は、「声の主は誰?」「33人目は誰?」という2つの謎を推理するもので、おじいちゃんはゴロワーズを吸いながら簡単に謎を解きました。

いまえださく
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ページ数少なめで、謎も推理も薄めの第四章です。

ただ、章の最後に謎に登場した楓の生徒たちがおじいちゃんに会いにくるという、心温まるエピソードでした。

第五章 まぼろしの女

登場人物

まぼろしの女


ウォーキングママ。
岩田は無実という決定打をもっている目撃者だが、「まぼろしぃー!」で存在していないことになっている。

四季のヤロー


もはや読者の男子すべてを敵に回したと言っても過言ではない。
四季のキザな前髪を「おかっぱさん」の髪のように真っ直ぐぱっつんぱっつんに切りそろえてやりたい。

あらすじ

岩田が事件に巻き込まれて警察にタイーホされて、それをおじいちゃんの名推理で助けたり、楓の父親と母親はすでに亡くなっていて、母親を殺害したストーカーはタイーホされていないとか、かなりセンセーショナルなことがわかる第五章なんですけど、そんなことなどどうでもいい大事件が勃発します。

四季のヤローが楓ちゃんに告白しました。

絶対に許すまじ(笑)

終 章 ストーカーの謎(リドル)

登場人物

親バカさん


言語聴覚士。バニラ味のプロテイン。

ソフトクリーム屋


理学療法士。バニラビーンズ。

あらすじ

楓をストーキングしていたバニラが本気を出し楓をグルグル巻きにしますが、以下の文章が秀逸でした。

家から出てきた楓に気付き、男は目立たないようわざとゆっくりと塀の陰に姿を隠した。
彼は自分に聞こえるか聞こえないかほどの小さな声で呟いた。
「楓先生」
そして、いつもどおり細心の注意を払いつつも、慣れた様子で楓の後ろを尾けていった。

終章 ストーカーの謎 286ページ

上記の文章を読むと「あのバニラは今家の中にいるから、あのバニラが犯人じゃん!」となるのですが、あのバニラが犯人じゃないとわかったときの驚きが素敵でした。

それはさておき、おじいちゃんとその他2名が楓をピンチから救い出します。

その他2名のどちらにも楓ちゃんはやらん!

という、終章です。

詳しくは、本書をぜひ。

いまえださく
いまえださく

大事なことなので最後にもう一度お伝えさせてください。

「お前の方がストーカーだろ!」という、あたたかいご意見は受け付けません。

さいごに

第21回「このミステリーがすごい」の大賞受賞作「名探偵のままでいて」小西マサテル(著)のあらすじと登場人物をちょいネタバレで書きました。

ジャケットの楓ちゃんの魅力も凄まじいですが、本編の楓ちゃんの魅力も凄まじいので、ぜひぜひ読んでいただきたいです。

推理小説としての謎は本格的な推理小説と比べてライトでソフトだと思いますが、逆にそこがよくて「月9」で放送したらヒットしそうです。(おじいちゃん役は舘ひろしさんがいいな)

また、楓と岩田、楓と四季、それぞれの恋愛模様が年の割には可愛らしくライトでソフトなので、こちらも「月9」で通用しそうな感じがします。(楓役は、永野芽郁さんか、川口春奈さんか、今田美桜さんか……女優さんを考えるの楽しいな、笑)

サクサクと読み進めることができる軽快な文章でストレスまったくなし!

ジャケ借りして大正解でした。本当におすすめです。みなさんもぜひ。

いまえださく
いまえださく

以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。