交通誘導員は、最底辺の職業らしいです。
理由は、賃金が安いから? 仕事内容がキツイから? 誰からも感謝されないから?
本書を読むと交通誘導員が最底辺の職業と言われるゆえんが何となくわかります。
また、交通誘導員はボーっと突っ立っているだけでは務まらない理由も本書を読むとわかります。
交通誘導員の仕事内容や賃金、「交通誘導員ヨレヨレ日記」の印税のことや読んでおもしろいと感じたところをアウトプットしたいと思います。
警備員が最底辺の職業と言われる理由
- 仕事内容がきつい
- 給料が安い
- 誰にも感謝されない
交通誘導員の仕事内容
仕事内容はおおまかに3種類
- 道路での交通誘導
- 工事現場での交通誘導
- 店舗での交通誘導
○ 道路での交通誘導は、道路全体を通行止めにする誘導と、片側交互通行の交通誘導。
○ 工事現場での交通誘導は、工事現場の出入口と、敷地内での交通誘導。
○ 店舗での交通誘導は、駐車場内の車両の誘導と、歩行者の安全を確保するための交通誘導。
片側交互通行(片交)の交通誘導は難しい
「交通誘導員ヨレヨレ日記」の作中に挿絵付きで片交の交通誘導が解説されていますが、片交は難しい仕事内容だと思います。誰でもできる仕事ではないと感じました。
何が難しいか。
ドライバーは勝手なので、自分のことしか考えません。後ろのことなんて気にしません。これが交通誘導員にとって脅威なのです。そして、自分の思い通りにいかないと文句を言うし、事故でも起きたら怒鳴り込んできます。日夜、交通誘導員は強大な敵と戦っているのです。笑
さらに身内の中にも敵はいるようで、使えない味方とタッグを組むと地獄の片交Dayになるそうです。笑
交通誘導員はトイレに行けない
交通誘導中は、トイレに行けないことも多いそう。
熱中症対策で水分補給しなくてならないのに、水分をとるとトイレに行きたくなるジレンマ。
気合で何とかならないのが生理現象です。トイレに行けないのはつらいですね。
だからといって、立小便はダメだ
コンビニへ駐車したのに、わざわざ道路を渡って林の中で立小便した人がいると本書には書いてありました。また、ある警備員は、トイレのない公園の樹木の陰で立ち小便しているのを目撃されて通報されたということです。
なんでわざわざ、と思ったり。ちょっとモラルが、なんて感じました。こんなことで、頭を下げてまわる人がいると思うと気の毒です。
交通誘導員の賃金
日当はいくら?
インターネットで調べると、日勤で8,000円~11.000円前後。夜勤だと9,000円~13,000円前後です。
勤務時間が超過したときは残業代が支払われ、逆に仕事が早く終わっても1日分が支払われるそう。また、日払いの夜勤バイトがあるので、至急、お金が欲しい方にはピッタリですね。
本書には、日勤1日9,000円前後。休日や雨で中止の日もあるから、月平均18万円ほどと書いてあります。
フルに働き月収67万円稼いだ猛者もいる
普通に働けば月18万円くらいになる警備員ですが、月に67万円稼いだ猛者がいると本書には書いてあります。
その方は35歳。仕事が楽で早く終わる、いわゆる「いい現場」を渡り歩き、昼夜1か月働きづめで60勤務を可能にしたそう。そこに割増手当や資格手当を加え、67万円を稼いだそうです。
普通の仕事でも67万円は高所得なので夢はあります。しかし、1か月働きっぱなしは相当なモチベーションがないと無理だと思います。「3か月ガッツリ働いてポルシェの頭金にする!」みたいなモチベーションがあれば頑張れるのでしょうか。笑
警備員は誰にも感謝されない
警備業は忍耐業
「交通誘導員ヨレヨレ日記」で一番面白かったのがここ。
著者の柏耕一さんが、紺野さんにボコボコに諭されます。
柏「警備員の喜びって何ですかね」
紺野「そんなものないよ」
柏「そうかもしれませんが、早上がりは嬉しいし、ラクな現場は何となく楽しくないですか」
紺野「柏さんはそれが警備員の喜びと言うわけ? それは違うんじゃない。この現場の監督や棟梁なら家を一軒作り上げたときには、無から有を生じたわけだから喜びを実感すると思うよ。しかし、われわれには物を作り出す喜びはないからね。警備員は1日働けば足だって棒のようになるし、寒さ暑さに直撃されるし、喜びより疲れだけが残る仕事だよ。ボクは警備業は忍耐業だと思っているけど」
118ページから
本書では、紺野さんの理路騒然はまだまだ続き、ボコボコにされる柏耕一さんもまだまだ続きます。おもしろいので、本書を手に取る機会があったら、117ページからの「承認欲求:警備員の喜びってなんですか?」だけでも読んでいただきたい。
さいごに
著者の柏耕一さんは、ライターさんだったようで、文章を書くのがお上手。「交通誘導員ヨレヨレ日記」はとても読みやすいです。
内容もあまりなじみのないディープなところまで連れて行ってくれるので面白いし、交通誘導がただ突っ立っているだけではダメな難しい仕事だとわかります。片側交互通行のとき、(くそ熱い、くそ寒い中で)あんなにもいろいろなことを考えて動かなくてはいけないのかと驚きました。
「交通誘導員ヨレヨレ日記」が7万6000部のベストセラーとなり、柏耕一さんが書いたコラムに「交通誘導員の本が売れてだいぶ状況は変わってきた」と書かれていました。また、「低空飛行のこの10年で一番いい兆候が見え始めている」とも書かれていましたから、印税もわりと出たのではないかと思われます。
ちなみに、本の定価(1,300円)×発行部数(76,000部)×印税率(10%)で計算すると、印税は9,880,000円です。
本書では、実際に体験しないとわからない交通誘導員の仕事内容や交通誘導員の賃金のことが書かれているので、おもしろい。また、交通誘導員になろうとしている方にとっても、参考になる資料だと思います。
交通誘導員になるならないは別にして、交通誘導員に興味がある方は一読されてはいかがでしょうか。